「叱る」と「ほめる」のバランス〜本当に効果的な指導とは

道下真介

道下真介

テーマ:ビジネス・職場における”ほめ育”

こんにちは。
今日は「叱る」と「ほめる」のバランス
〜本当に効果的な指導とはについてお話しします。


「ほめ育が大事だと言われても、
叱らなければいけない場面もありますよね?」


研修やセミナーで、
この質問を必ずいただきます。

確かに、職場では間違いを正したり、
改善を促したりする場面が日常的に発生します。

では、
「ほめる」ことと「叱る」ことは、
本当に対立するものなのでしょうか。

結論から言えば、答えは「No」です。

ほめ育とは、
叱ることを否定する教育法ではありません。

むしろ、叱るべきときに正しく叱り、
ほめるべきときに的確にほめることで、
人材育成の効果を最大化する考え方なのです。


ある製造業の現場で、
こんな出来事がありました。

新人社員が作業手順を間違え、
製品に不良が発生しました。

上司は、その場で厳しく指摘しましたが、
同時にこう伝えました。

「今回のミスは重大だ。
でも、君が毎日真剣に作業に取り組んでいることは、
私も周りもちゃんと見ている。

だからこそ、この手順だけは絶対に守ってほしい。」

この言葉を聞いた新人は、
落ち込むどころか「次は絶対にミスしない」と
決意を新たにしました。

なぜなら、
叱責の中にも「認められている」
という実感があったからです。

これが、ほめ育における「叱り方」の本質です。

単に感情をぶつけるのではなく、
相手の成長を願って伝える。

そして、その前提として、
日頃から相手の良い面を認めている
という信頼関係が必要なのです。

逆に、普段から否定ばかりしている上司が叱ると、
部下は「また怒られた」としか受け取りません。

心を閉ざし、指導は届かず、改善も起こらない。これでは、叱る意味がありません。

つまり、「叱る」が効果を持つためには、「ほめる」という土台が不可欠なのです。

では、どのようなバランスで実践すればいいのか。

心理学では
「ポジティブ・ネガティブ比率」
という概念があります。

効果的なチーム運営には、
ポジティブなフィードバックと
ネガティブなフィードバックの比率が
「3対1」から「5対1」が理想とされています。

つまり、
1回叱るなら、3回から5回はほめる。

この比率を意識するだけで、
職場の雰囲気は劇的に変わります。


ただし、ここで注意すべきは「ほめる」の質です。


適当なお世辞や、形だけの賞賛では逆効果です。
相手が本当に努力した点、
成長した点を具体的に伝えることが重要です。

「今日のプレゼン、データの整理がすごく分かりやすくなったね。
前回のフィードバックを活かしてくれたんだね」

このように、
具体的な行動と成長を結びつけることで、
相手は「見てくれている」
「成長を認めてくれている」と実感します。

そして、叱るときも同様です。

感情的に怒るのではなく、
「何が問題か」「なぜ改善が必要か」
「どうすればいいか」を明確に伝える。

そして、最後には
「期待しているから伝えている」
というメッセージを添える。

これが、ほめ育における「叱る」の技術です。


もし、あなたの職場で
「叱ることが多くて、ほめる余裕がない」
と感じているなら、
それは組織の仕組みに問題があるかもしれません。

忙しすぎて、メンバーの良い点に目を向ける余裕がない。
そんな状態では、どんなに優秀な人材も育ちません。

ほめ育は、単なる「ほめる技術」ではなく、
組織全体の文化を変える取り組みです。

どのように仕組み化し、継続するか。
それには、専門的な設計とサポートが必要です。

もし、あなたの会社で
「叱るとほめるのバランスを整えたい」
「部下が成長する指導法を学びたい」
とお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。

人を育てることは、未来を育てることです。
その第一歩を、今日から一緒に踏み出しませんか。


道下真介(みちしたしんすけ)

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ほめ育コンサルタント

ほめ育を組織に導入し、現場スタッフに寄り添うことで、次々に業績アップを実現。

離職率が一気に下がる“ツボ”を見つける為に、現場スタッフに寄り添うことにより社内のコミュニケーションを円滑にしていく実務家。

なぜ、スタッフが離職をするのかを経営者やリーダーに進言しながら、現場を輝かす独自のやり方には、多くの企業が評価する。

お問い合わせ:公式ライン

Webサイト:マイ・ベストプロ

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道下真介
専門家

道下真介(ほめ育コンサルタント)

株式会社Torus

ほめる習慣を組織に根付かせる「ほめ育」コンサルティングを展開。社内のほめる基準となるほめ育コンピテンシーを明確にし、ほめる基準とほめて育てる文化を組織に根付かせ、人材定着や業績向上のサポートをします。

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