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コラム

たどり着かなかった訪問先

2016年3月5日

テーマ:つぶやき

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: お墓

何年か前になりますがお客様ご訪問に関する体験です。

お客様の家に墓石の打合せで伺う事になっていた日のことです。
急遽お客様のご都合が悪くなり時間変更の連絡が入りました。
その日の夜の9時半に来て欲しいとのことで「随分遅い時間だな?」と思いましたが
都合もお有りだろうと快くお受け致しました。

帰社後、車内で時間つぶしをして目的地へ出発。お客様の家付近に差し掛かった時、突然事故にあってしまったのです。
気が付くと私の車は横転して運転席が地面のすぐ上にありました。
大勢の人が集まってきて「大丈夫か?」「今みんなで起こすからな?しっかりしてね」と声を掛けられました。
何故かみんな両手をあげて私の車にへばり付き中を覗き込んでいるのです。
その時、私は世の中のすべての人が大きな災害にあったと思っていました。今思えば気楽な性分です。
「皆様は大丈夫ですか?」と問い返している自分。自分の車が大破していた事は後で知りました。

その後大勢の人に「ヨイショ!」の掛け声で車を起こしてもらい運転席から運びだされて救急車に乗せられました。
そして寝ながら救急隊員さんに「電話していいですか?」と声を掛け訪問予定のお客様へ一番に電話を入れていました。多分悪寒が来て身体が震えていたと思いますが。
「〇〇様でしょうか?申し訳ありませんが本日行かれなくなりました。又改めさせて下さい」と・・・・
その会話の中には救急車のサイレンが鳴り響きお客様の家でも電話を切ってもサイレンの音が聞こえていたと思います。家の直ぐ側の道路での出来事ですからね。当家のためらいながらも「いいですよ!」のお返事が今も耳に残っています。
電話後は意識も無くなり病院での検査が終わる頃ようやく目を開けた次第です。
大事故でしたがお陰さまで無傷でした。その後訪問先のお客様に事故の事は一切伝えず墓石は立派に完成させて頂きました。そのお墓を見るごとに当時の事を思い出します。
大事故で有りながら命を守られ新たな寿命を頂いた事に今も感謝しております。

この記事を書いたプロ

高田治郎

墓石の専門家

高田治郎(株式会社 京石)

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