物は授かるものであって欲しがってはいけない。
日本の昔から有る和型のお墓で言えば「〇〇家の墓」と彫っている
縦に細長い石碑を「仏石」と言うのですが、仏石は「魂」が入っていると言われ
傷つけたり無闇矢鱈に動かして粗末にしてはいけないという「言い伝え」が有ります。
お墓の「お引越し」や「解体据え直し」「戒名の追加彫刻」等をする時は
お墓の魂を一旦抜くという「しきたり」が有ります。それが「抜根」なんですよね。
「魂抜き」「お性根抜き」とも言います。
今までに心安らかに眠っておられたご先祖様が急に動かされたり石用ハンマーで叩かれたり
彫刻で傷つけられたりすると寝てる子を起こすようなもので 「おいおい!動かすなら前もって言ってくれや!」~ってお怒りにならない為に。又施工者が怪我なく事故なく無事に工事を完了する為のお清めの意味も含まれているとか。
手順としてはお寺様をお呼びしてお墓の前でお清めのお経を上げて頂きます。
その儀式により 施主様が工事事情をご先祖様にお知らせ出来るというものです。
しかしこの時にお寺様へのお布施も必要で、加えて お墓まで来て頂くお車料も要ることになります。
又抜魂したお墓は工事完成後に「入魂」の儀式をしないといけないので工事費外の思わぬ費用と時間が掛かる事になるんですね。そこで近年増加したのが「霊標」の設置です。「墓誌」とも言います。
霊標‥墓誌には魂が宿らないとの事で戒名の追加彫刻などの抜魂の儀式はいりません。
又仏石には8霊位~10霊位しか彫刻出来ないのですが霊標では16名位~20名位彫刻可能で喜ばれています。
弊社でも仏石を動かす工事については工事日を決める前に「抜魂」の説明をします。
先日、お墓のお引越しのお客様にお話しすることが有りましたが
「えっ 亡くなったお母ちゃんはそんなん気にせいへんと思うわ!」とのお返事で話は終わりました。
最近は「仏石」に追加彫刻される方も殆どの人が抜根はしない傾向にあります。
昔と違って仏石を持ち帰らずに現場で彫刻できるようになった事も要因の一つでしょうか。
又、魂が存在しないという宗派も有りますので無理押しせず、お声掛けに留めていますが
抜根をされないお客様の場合は工事人と一緒に工事開始前に墓前でお線香を供えてお参りしてから始めます。自己満足かも知れませんけどね。