バリアフリーは細部に宿る

菊池浩史

菊池浩史

完璧なバリアフリーの住宅であっても、一歩外へでた街の中、そして街から街への移動にバリアがあればバリアフリーな暮らしとは言えません。住宅に比べ、街のバリアに対する関心はまだまだ低い気がします。外出しやすい、歩きやすい、移動しやすいことは、とりわけ高齢者には心身の健康にも影響を与えると言われています。

街なかでの移動の障害をなくすために法整備も進んでいます。
その一つが、1994年に施行された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」いわゆるハートビル法です。ハートビル法とは、高齢者や神体障碍者などの自立と積極的な社会参加を促すため、不特定多数の人が利用する特定の建築物等について、高齢者や身体障害者などが円滑に利用できるような整備を促進するため、バリアフリー化を義務付ける法律です。

もう一つが交通バリアフリー法です。正式には「高齢者、身体障害者などの公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」と言い、2000年に施行されました。この法律は、高齢者、身体障害者、そのほか妊産婦などの公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上を図るために、駅やバスターミナルなどの「旅客施設」、鉄道やバスなどの「車両」、駅などを中心とした一定の地区における周辺の道路、駅前広場、信号機等のバリアフリー化を推進することを目的としています。

2006年には、高齢者や身体障害者などの移動や施設利用の利便性や安全性の向上を促進するために、公共交通機関、建築物、公共施設のバリアフリー化を推進するとともに、駅を中心とした地区や高齢者、身体障害者などが利用する施設が集まった地区において、重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進することを目的とした「バリアフリー新法」(高齢者、身体障害者などの移動等の円滑化の促進に関する法律の改正)が施行されました(これに伴い交通バリアフリー法は廃止されました。

更に国土交通省は、公共交通機関のバリアフリー水準のレベルアップを図るため、①役務の提供の方法に関する基準(ソフト基準)、②新幹線の新たなバリアフリー対策、③視覚障害者のエスカレーター利用のための誘導案内方法等について、交通バリアフリー基準及びガイドラインの改正に関する検討を行っています。今後の整備を大いに期待するところですが、次の写真をご覧ください。これはJR大阪環状線にある駅構内の多目的トイレです。トイレットペーパーを使う時に身体をねじるため、非常に使いづらいトイレの一例です。整備する側は細かな使い勝手まで配慮しなければならないと強く感じました。

駅構内のトイレ


次回は歩きやすい街について考えてみます。

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住まいの消費者教育研究所

住まいにまつわるビジネス経験や、不動産鑑定士としての専門的知見を活かし、顧客ファーストで「住まい教育」を普及・実践。住まい選びやメンテナンス、そして家仕舞いまで、ワンストップでトータルサポートします。

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