金融教育×住教育から空き家対策を
高齢者住宅には、自立の高齢者だけを対象としたもの、要介護者(含要支援者)だけを対象としたもの、自立と要介護の高齢者双方を対象としたものがあります。そのうち、要介護者(含要支援者)だけを対象としたものが最も多い。その理由は、重度の要介護者が多いほど介護保険収入が多くなるという施設経営からの事情によるものです。その場合、自立の高齢者が暮らす一般居室と要介護者が暮らす介護居室に分け、一般居室から介護居室への移り住みができる高齢者住宅が多い。
ところで、一般居室と介護居室の割合はどのくらいでしょうか。次は関西にある高齢者住宅の事例です。
Å社:一般居室約90室、介護居室約40室
B社:一般居室約220室、介護居室約90室
C社:一般居室約500室、介護居室約100室
各社とも一般居室から介護居室への移り住みのシステムがありますが、留意すべき点は介護居室が満室となり移り住みができない状況はあり得るのか、その場合の対応はどうなるかという点です。最終的には、一般居室に住みながら介護サービスを受けることになりますが、介護居室に比べると制約がでることは避けられません。そのため各社とも独自の工夫を凝らしています。
A社は一時介護居室、B社はアシストルームと呼んでいる一般居室と介護居室の中間的な居室を設けて、状態が戻れば移り住みではなく一般居室へ戻れるようにしています。いわゆる調整弁的な機能をもった居室です。B社は、これまでの実績から一般居室と介護居室のバランスを勘案しているようです。そしてC社は、介護居室の100戸は一般居室500戸からの移り住みの受け皿だけに限定しており、介護居室の募集は行っていません。これだと移り住みができないという不安はぐんと少なくなります。
入居時に自立していた高齢者も、その多くの方は年月と共に要介護状態になっていきます。そうなれば移り住みを望まれる高齢者やご家族が多くなります。入居者からすれば、それは大きな安心材料となります。
自立の状態で高齢者住宅を選択する場合、一般居室から介護居室へ移り住みができるか、その時に介護居室が満室であればどのような対応になるか、について是非確認して下さい。盲点になりがちです。最期まで安心できる住まいを選びましょう。
以上