金融教育×住教育から空き家対策を
多くの方から「高齢者住宅は高い」というお話をお聞きします。もちろん物件によって異なりますが、一般的には自宅で暮らすよりも高くつきます。ところがどのような費用がどのくらい発生するかについて、正しく理解している方は少ないように見受けます。なぜなら高齢者住宅の費用体系が複雑だからです。
どのくらいの費用が必要かを調べるには、パンフレットやホームページに記載されている「月額費用」を確認しましょう。月額費用には「家賃+管理費+食費+上乗せ介護費」が通常含まれます。近年は入居一時金が不要な物件も増えてきましたが、多くの高齢者住宅では入居一時金が必要です。なので償却期間に応じて入居一時金を償却した月額償却額を加算した方が比較するには合理的です。上乗せ介護費は、介護保険の上限額以上の介護サービスを提供する場合には必要となります。
月額費用=入居一時金の月額償却額+家賃+管理費+食費+上乗せ介護費
次に「月額生活費」と呼ばれるものがあります。月額費用に「介護保険自己負担+医療保険自己負担+光熱水費+介護費用+日用品+有料サービス費」を加えたものです。高齢者住宅での暮らしに必要な費用がほぼ含まれますが、個人差もあります。資金計画を立てる上では、必ず押さえておくべき金額です。
月額生活費=月額費用+介護保険自己負担+医療保険自己負担+光熱水費+介 護費用+日用品+有料サービス費
ところで費用が高いほど、質の高い介護サービスが受けられるのでしょうか。介護サービスの質を客観的に比較するのは難しいですが、一つの指標に職員の配置比率というものがあります。常勤換算で直接処遇職員(介護職員と看護職員)一人当たりが、何人の入居者を処遇しているかを表した数字です。あくまでも一つの見方ではありますが、配置比率が低い(職員一人当たりが処遇する入居者の数が少ない)方が手厚いサービスだと考えることができます。
公益社団法人全国有料老人ホーム協会の登録ホームのうち、関西地区にある介護付き有料老人ホーム88施設について、月額費用と配置比率の関係を分析しました。その結果、月額費用の高いほど配置比率が低くなる傾向が見れました。
介護の沙汰も金次第という一面があるのも事実です。経済的な負担能力と発生費用のバランスをしっかりと見定めることが必要です。
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