【BIM活用】工場インフラを止めない経営へ|30年間で15%のライフサイクルコスト(LCC)削減を実現する設備管理の新常識
こんにちは。Joh Abroad(ジョーアブロード)の福澤です。
既存建物の改修や設備更新では、「図面が残っていない」「増改築によって図面と現場が合わない」「複雑な配管やダクトの位置関係を確認したい」といった課題がよくあります。
このような場面で役立つのが、3Dレーザースキャナーで取得する点群データです。
現況を3Dで記録し、平面図・断面図などの2D図面、BIMモデル、3Dパースへ展開することで、改修計画や施工検討、維持管理に活用できます。
今回は、ビル機械室を実際に計測した事例をもとに、点群取得から図面・BIM作成までの流れと、外注費用の目安をご紹介します。
目次
点群データとは?既存建物の「現在の姿」を3Dで復元する技術
点群データとは、空間や建物を無数の点の集まりとして記録した3Dデータです。各点にはX・Y・Zの位置情報があり、壁・床・天井だけでなく、配管・ダクト・機器などの位置関係も立体的に再現できます。
弊社(Joh Abroad)では主に3Dレーザースキャナーを用いて計測を行います。写真や平面図では伝わりにくい奥行きや高さ、複雑に入り組んだ設備同士の位置関係もミリ単位の現況精度で再現できるのが最大の特長です。
図面が存在しない老朽化物件はもちろん、増改築によって図面と現場が一致しない建物など、さまざまな既存建物に対応可能です。点群データを基にデジタル空間上に正確な「現在の姿」を復元し、用途に応じて2D図面、BIMモデルなど、目的に応じてデータを作成します。
点群取得からBIMモデル作成まで|機械室 約200㎡の実例
今回ご紹介するのは、ビルの機械室(約200㎡)を対象に、点群計測からBIMモデリングまで実施した事例です。現地で約30か所からスキャンを行い、躯体・鋼材・配管・ダクトを3Dモデル化しました。
1.3Dレーザースキャナーで現況を計測

まず最初に、機械室内にレーザースキャナーを設置し、複数の位置から現況を計測していきます。
機械室のように配管や機器が密集する空間では、1方向からの計測だけでは死角が残ります。スキャナーを複数地点に移動させながらデータを取得し、必要な範囲を立体的に記録していくことが重要です。
【本実例のスキャン実績】
・スキャン数: 約30スキャン
・計測時間: 1スキャンあたり約5分
・現地撮影: 作業員1名で約3時間
【ポイント】
ご依頼時に平面図・手書きの見取り図・現場写真などをご共有いただけると、事前に必要なスキャン数を正確に試算しやすくなります。設備が非常に複雑な場合などは、お見積もり前に現地調査を行うことも可能です。
2.点群データを処理(ノイズ処理)・統合
次に、現地の複数箇所で取得した点群データを専用ソフトで結合(合成)し、機械室全体を一つの3D空間としてつなぎ合わせます。
計測時には、設備だけでなく、作業員や通行人、浮遊物なども記録されることがあります。そのため、不要なノイズを除去し、図面作成やBIMモデリングに適したクリーンなデータへ調整します。
こうして処理した点群データでは、配管・ダクト・機器などの位置関係を、さまざまな角度から確認できます。新たに設置する設備のCADデータを重ねれば、施工前の干渉チェックや納まりの検討にも活用可能です。
3.点群データを基に、BIMモデルを作成する
最後に、処理・結合した点群データをBIMソフトに読み込み、点群の形状や位置に沿って3Dモデルを作成します。
点群データは、建物や設備を無数の点で記録したデータです。そのため、そのままでは「どれが配管で、どれがダクト・機器なのか」を区別した図面データにはなっていません。
そこで、点群データを確認しながら、躯体・鋼材・配管・ダクト・機器などを、それぞれBIMの部材として立ち上げていきます。こうして点の集合であった現況データを、改修や施工の検討に利用できるBIMモデルへ変換します。
また、成果物はBIMモデルに限りません。平面図・断面図・詳細図などの2D図面、設備CADデータなど、目的に応じた形式へ変換・作成することが可能です。
点群データを活用するメリット
現況に合わせた各種図面を作成できる
図面がない建物や、図面と現況が一致しない建物でも、点群データを基に現況を確認し、平面図・断面図・詳細図などの各種図面を作成できます。
改修計画や施工検討だけでなく、設備更新、現況資料の整備、維持管理など、目的に応じて活用できます。
干渉チェック・納まり検討に役立つ
既存設備のBIMモデルに新設設備のデータを重ねることで、施工前に干渉や納まりを確認できます。測り直しや手戻りの削減につながります。
拾い集計・帳票出⼒・見積・発注へ展開できる
建築設備専用の3D CADでは、図面・モデルから部材を拾い集計・帳票出⼒・見積書や発注書の作成につなげることも可能です。設計から施工、維持管理まで情報を活用しやすくなります。
点群取得・BIMモデリングの費用目安
今回の機械室事例では、費用の目安は以下のとおりです。
| 作業内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 点群取得(現地撮影)・点群データ処理 | 約40万円~ |
| 点群取得・処理+モデリング作業 | 約65万円~ |
| Rebro作業(属性入力など) | 3,500円/時間~ |
対象条件: ビル約200㎡の機械室
スキャン数: 約30スキャン(撮影:1名/約3時間)
モデリング範囲: 躯体・鋼材・配管・ダクト(機器属性入力なし)
制作期間: 点群データ処理~モデリング完了までおよそ2週間
※金額は本事例の目安です。現場条件、必要な精度、作成する成果物の範囲により変動します。
費用は「スキャン数」と「作成するデータの範囲」で決まる
点群取得や図面・BIMモデル作成の費用は、床面積だけで決まるものではありません。障害物が少ない空間と、配管や機器が密集する機械室では、必要なスキャン数や作業時間が大きく異なるためです。
主な変動要因は、以下のとおりです。
- 必要なスキャン数
- 配管・ダクト・機器など設備の複雑さ
- 対象範囲(室内の一部・建物全体・屋外設備など)
- 求める精度
- 図面作成・BIMモデル化の範囲、属性入力の有無
- 現地調査や遠方対応の有無
「現況を3Dで記録したい」「改修時の干渉チェックをしたい」「図面やBIMモデルを維持管理にも活用したい」など、目的によって必要な作業範囲は変わります。まずは活用目的を整理したうえでご相談いただくことで、必要な範囲に絞ったご提案が可能です。
点群データから図面・BIM活用まで一貫対応
点群データを活用すれば、図面がない建物や現況と図面に差がある建物でも、現在の状態を3Dで把握できます。そのデータを基に2D図面やBIMモデルを作成することで、改修計画、施工検討、維持管理まで幅広く活用できます。
Joh Abroadでは、点群データの取得からデータ処理、図面作成、BIMモデリングまで、目的に応じてご提案します。既存建物の図面作成や、改修前の現況確認でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
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