【BIM活用】工場インフラを止めない経営へ|30年間で15%のライフサイクルコスト(LCC)削減を実現する設備管理の新常識

福澤譲

福澤譲

こんにちは!ジョーアブロードの福澤です。

設備の老朽化。
図面の消失。
設備を熟知したベテラン社員の退職。
そして、設備工事会社の人手不足。

こうした課題は、「工場を維持すること」そのものを、これまで以上に難しくしつつあります。

実際、多くの工場では生産設備への投資が優先される一方で、空調・給排水・蒸気・電気といったインフラ設備の更新は後回しになりがちです。また、設備が故障してから対応する「事後保全」が中心となっており、突発的な修繕費や生産停止のリスクを抱えながら運営しているケースも少なくありません。

どれほど高性能な製造ラインを導入していても、それを支える設備が止まれば生産も止まります。だからこそ今、「どう維持し、どう更新していくか」が重要な経営課題となっているのです。

そして、その課題を解決する手段として注目されているのが、
「BIM(ビム)(Building Information Modeling)」です。

本記事では、BIMを活用した設備管理によって、工場を止めない仕組みづくりと、30年間でライフサイクルコスト(LCC)を15%削減する考え方について解説します。

工場を維持することが難しくなっている3つの理由

かつては、設備トラブルが発生しても、設備工事会社が迅速に対応してくれるのが当たり前でした。しかし今、その「当たり前」が少しずつ変わり始めています。

1.設備の老朽化と更新時期の到来
製造設備の更新は進んでいても、空調・給排水・蒸気・電気といったインフラ設備は後回しになりがちです。「まだ動くから大丈夫」と思っていても、突然の故障が工場全体の停止につながることもあります。

2.設備情報の属人化
「この設備のことは○○さんしか分からない」。そんな状況はありませんか。図面の紛失や改修履歴の未整備など、設備情報が属人化していると、退職や異動によって大切な情報や記録まで失われてしまいます。

3.人手不足による維持管理の限界
設備工事会社の人手不足により、以前のように迅速な対応が難しくなっています。今後は「壊れたら直す」だけではなく、計画的な維持管理が欠かせない時代になっています。

BIMとは、工場全体の設備情報を「見える化」する仕組み

こうした課題に共通しているのは、「設備に関する情報が整理・共有されていないこと」です。

設備の位置や仕様、更新履歴、点検記録などを誰もが確認できれば、修繕や更新の判断はよりスムーズになります。

例えば、設備をクリックするだけで、メーカー名や型式、設置年、点検履歴、交換時期などを確認することができます。必要な情報をすぐに確認できるため、修繕や更新の判断に役立つほか、担当者が変わった際の引継ぎも円滑に行えます。

BIMは、工場全体の設備情報を保管・共有し見える化することで、「工場を止めない経営」を支える基盤となります。

なぜBIMは30年間で15%のライフサイクルコスト(LCC)削減につながるのか??

一般的に、工場のライフサイクルコスト(LCC)では、建設時の初期費用は全体の20~25%程度で、残りの75~80%は建設後の維持管理や運営にかかる費用です。

例えば、3,000㎡程度の工場では、30年間の維持管理・運営費が15~20億円にのぼるケースもあります。つまり、工場経営において大きなコストは、「建てること」ではなく「建てた後」に発生しているのです。

BIMを活用した設備管理によって30年間で約15%のLCC削減が期待されており、15~20億円の15%は約2~3億円。決して小さな金額ではありません。

では、なぜそのような削減につながるのでしょうか。その理由は大きく3つあります。

① 現場調査や手戻りを減らせる
BIMによって設備の位置や仕様を事前に把握できるため、現地調査や図面確認の負担、図面と現況の不一致による手戻りを減らし、改修工事のコスト削減につながります。

② エネルギーコストを最適化できる
設備の更新時期や性能を把握することで、省エネ効果の高い設備を優先して更新でき、無駄な投資を抑えながら光熱費の削減を実現できます。

③ 予防保全によって突発停止を防げる
設備の点検履歴や更新時期を適切に管理することで、故障前の計画的なメンテナンスを実施でき、突発的な設備停止を回避しながら、設備の長寿命化と維持管理費の削減を実現できます。

このようにBIMは、設備情報を活用することで、無駄なコストの削減と安定した工場運営の両立を支えます。だからこそ、「壊れてから直す」のではなく、「壊れる前に備える」という設備管理への転換が重要なのです。

まとめ|「工場を止めない経営」のために、今できる準備を

設備の老朽化や人手不足、ベテラン社員の退職などにより、「工場を維持すること」そのものが大きな経営課題となりつつあります。

こうした課題に対応するためには、設備情報を正確に把握し、将来を見据えた計画的な維持管理を進めていくことが重要です。BIMによって設備情報を見える化し、更新計画や修繕履歴を一元管理することで、突発的なトラブルや生産停止のリスクを抑え、長期的なLCC削減にもつなげることができます。

ジョーアブロードでは、これまで工場・ビル・病院・学校など、設備計画が複雑な大規模建築物のBIMモデル作成など数多く手がけてまいりました。
「工場のBIM化についてもっと知りたい」「費用の相場を知りたい」「将来の設備更新に不安がある」――そのようなお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。

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福澤譲
専門家

福澤譲(建設コンサルタント)

株式会社Joh Abroad

ベトナム・ネパールの技術者と連携し、3DモデリングツールやBIMを駆使。建設業界が直面する深刻な人手不足や非効率的な業務体制といった課題に、多角的かつ実践的な解決策を提供します。

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