新人×シフト勤務の“眠れぬ現実”とは

樋口麻理

樋口麻理

テーマ:企業研修

 
新生活が始まり眠れていますか?
新年度、新入社員が仲間に入りました。
緊張と期待に満ちたその姿に、
先輩社員も「頑張ってほしい」と願わずにはいられません。
しかし、私たちは見落としていないでしょうか?
そもそも新入社員は、ちゃんと眠れていますか?

睡眠を軽視する企業は・・・ 新人教育の成功を左右する「睡眠負

一定の研修後にシフト制勤務に従事しますが、
生活リズムが乱れ、睡眠が削られがち。
年齢で過信をしていると、数か月後にはメンタル不調・
体調不良・離職の文字がちらついきます。
実は、
新入社員×シフト勤務×睡眠不足という組み合わせは、
想像以上に危険です。
にもかかわらず、多くの職場では睡眠についての
教育が「ゼロ」

これは企業・福祉施設側の“見えないリスク”ともいえる状態です。
そこで今、注目されているのが
社員研修での睡眠教育導入」提案です。
単なる健康指導にとどまらず、
“経営のための施策”として、見直されつつあるこの分野について、
事例・データ・課題をまじえてお話しします。

シフト勤務で崩れる、新入社員の「睡眠基盤」

まず、シフト勤務という働き方が、
どれだけ睡眠に影響を与えるかをお伝えします。
厚生労働省や睡眠医療のデータでは、
交替勤務者の約8割が「睡眠に問題を抱えている」という報告があります(※1)。
夜勤・早朝勤務を含むシフト制では、
生活リズムが毎週のように変動し、身体が適応しきれず、
慢性的な“社会的時差ボケ”状態に。
このリズムの乱れは、以下のような形で現れます

•寝つけない・途中で目が覚める
•睡眠時間安定しない
•寝ても疲れが取れない
•日中や通勤時に眠気が強い
•食欲・集中力・感情のコントロールが落ちる


特に新入社員は、まだ生活自体が慣れなていないため、
いきなりのシフト制に心身がついていけません。
いわば、間違えた生活習慣と正しい習慣化が確立できなまま
負担だけが大きくのしかかる状態。

「寝不足が原因」と気づけない落とし穴

睡眠不足は「原因が見えにくい」のが特徴。
たとえば、新入社員が以下のような状態になったとします。
•やる気が出ない
•注意力低下でミスが続く
•体調不良を訴える
•遅刻・欠勤が増える
•突然の退職


これらは、
「本人の甘え」「忍耐力不足」「ストレスに弱い」と捉えられがちです。

その根底にあるのが「慢性的な睡眠不足」だったとしたらどうでしょう?
睡眠の質・量が不足することで、
脳の前頭葉(思考・判断・感情の司令塔)は機能低下し、
ミス・怒り・不安・無気力が爆発的に増えます。
しかも、それを本人も周囲も“睡眠の問題”と気づけないことが多いのです。
大切な人材を失う損失は
“見えない重大な問題と言っても過言ではありません。
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研修で睡眠を学ぶことが
「安全」「離職防止」「利益」につながる


なぜ、企業研修として睡眠教育を導入することが有効なのかお伝えします。
理由は明快です。
睡眠教育を受けていない我々は「知識と技術」がないため、
自己流では改善できず、正しい知識と伴走する担当者が必要です。

しかも、習慣を定着させるには「最初」が重要であり、
新入社員にとっては研修が最大のタイミングなのです。

導入することで得られる効果
1. 心身ともに健康な社員
 ・心身不調の予防
・睡眠が整うことで、ストレス耐性・自己肯定感が上がる
2. ヒューマンエラーの予防  
  睡眠不足による集中力低下・判断ミスを防ぐ
3.定着率の向上   
  “職場に適応できた”という自信ができ、離職リスクが下がる
4. 職場の風土改善   
チームワークの確立
5. 労働災害の予防・会社リスクの低下   
  夜勤後の交通事故・業務中のトラブル防止

実際、一部の企業では、
社員に対する睡眠教育や“昼寝スペースの整備”が導入され、
パフォーマンスが改善したというデータもあります。
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「うちの会社にはまだ早い」と思っていませんか?
「でも、うちは中小企業だし…」
「導入コストがかかるのでは…」
そんな声も聞こえてきそうですが、
睡眠教育は“最小の投資で最大の効果が出る施策の一つです。
たとえばオンライン講座で導入可能。

講師派遣も可能で、管理職への勉強会から始めることもできます。
むしろ“何もしないこと”による損失の方が大きいと考えます。
新人の離職・労災・メンタル不調・職場の空気の悪化など――を考えると、
睡眠を整える知識の欠如こそが最大のコストではないでしょう。

まとめ

未来を守る“福祉施設や交代勤務の企業の睡眠力”を育てよう
新入社員が安心して働き続けられる職場を作るには、
給与や制度だけでは足りません。

企業にとっての睡眠教育は、
個人の健康を守るだけでなく、組織の安全・生産性・信頼を守る経営戦略です。
とくに、生活リズムが乱れやすいシフト制勤務では、
“教えなければ整わない”という前提を持つことがカギになります。

ぜひ今年の新入社員研修に、「睡眠の整え方」という項目を加えてみてください。
それはきっと、会社の未来を支える力になります。
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補足資料・出典
※1:厚生労働省「交代制勤務者の健康実態調査」
※2:Cochrane Database(シフト勤務者への睡眠改善介入)
※3:日本睡眠学会・睡眠医療認定センター資料
補足資料・出典一覧とその活用箇所

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Mybestpro Members

樋口麻理
専門家

樋口麻理(睡眠健康指導士)

株式会社印笑

医療・教育の分野を知る睡眠健康指導士が、生活や社会活動の基盤となる睡眠管理をテーマに自己実現や子育て、健康維持をサポート。フェイスメソッドで、いびき対策や顔のこわばり改善などお伝えします。

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