認知行動療法(CBT)とは?セルフでも実践できる方法と効果
問題解決技法は、認知行動療法(CBT)の中でも日常生活や仕事での困りごとに取り入れやすい方法です。
この記事では、問題解決技法の基本的な手順から、仕事や人間関係での具体例、セルフで実践する際のポイントまで丁寧に解説します。
こんにちは。
公認心理師の大城ケンタです。
よろしくお願いします。
問題解決技法とは?
問題解決技法は、認知行動療法(CBT)の中でも、日常生活や仕事での困りごとに取り入れやすい技法です。
「どう対応したらいいかわからない状況」を整理し、解決策を考え、実行することで、ストレスや落ち込みを減らすことができます。
例えば、「上司からの指摘で落ち込む」「友人とのトラブルが続く」といった状況でも、順序立てて整理することで、落ち込みや不安を減らし、自分で解決に向けた行動を取りやすくなります。
問題解決技法の基本ステップ
問題解決技法を実践する際は、順序立てて進めることが大切です。
ここからは、実際に取り組むときの具体的なステップを順番に見ていきましょう。
ステップ1|困りごとを明確にする
まず、何が問題なのかを整理します。
頭の中だけで考えるより、紙やスマホのメモに書き出すことで、状況が可視化され、次の行動が取りやすくなります。
ここで大切なのは、「なんとなくつらい」を具体的な言葉にすることです。
そのために、次のような質問を自分に投げかけてみると整理しやすくなります。
「何が起きたのか?(事実)」
「そのとき自分はどう感じたか?(感情)」
「どんな考えが頭に浮かんだか?」
「一番つらかったポイントはどこか?」
「これは“状況”の問題か、“自分の解釈”の問題か?」
特に役立つ工夫は、“事実”と“解釈”を分けて書くことです。
例)事実:上司から会議で「準備不足だね」と言われた
考え:「自分は評価されていないのでは」「能力が足りないのかも」
このように整理すると、問題の焦点が見えてきます。
ステップ1は“分析”の段階であって、“解決”の段階ではありません。焦らず、まずは丁寧に書き出すことを意識しましょう。
ステップ2|解決策を考える
次に、考えられる解決策を複数出します。
量を増やすほど、選択肢が広がり、行動に移しやすくなります。
解決策が思い浮かばないときは、自分に問いかけてみるとアイデアが出やすくなります。
たとえば、次のような質問が効果的です。
「もし友人が同じ状況だったら、何とアドバイスするだろう?」
「今できる“いちばん小さな行動”は何だろう?」
「最悪の事態を避けるためにできることは?」
「これまで似た状況をどう乗り越えてきただろう?」
「完璧でなくていいとしたら、何を試せるだろう?」
ポイントは、良い・悪いを判断せず、とにかく量を出すことです。
この段階では現実的かどうかを厳しくチェックする必要はありません。まずは選択肢を増やし、その後で実行可能なものを選べば十分です。
認知行動療法(CBT)の問題解決技法では、この“選択肢を広げる工程”が特に重視されています。
ステップ3|実行と振り返り
考えた解決策を実行し、その結果を振り返ります。
うまくいった点・改善点を整理して、次の行動に活かします。
ここで大切なのは、“成功か失敗か”の二択で判断しないことです。
問題解決技法では、うまくいかなかった場合も「データが取れた」と考えます。行動した時点で前進です。
振り返りの際に役立つ質問は、次のようなものです。
「実際にやってみて何が起きたか?」
「思っていた結果とどこが違ったか?」
「うまくいった部分はどこか?」
「改善できるとしたら何を少し変えるか?」
「次に試すとしたら何がよさそうか?」
特に効果的なのは、“点数をつける”方法です。
たとえば「今回の行動は10点満点中何点か?」と自分に聞いてみます。
5点でもOKです。0か100かで考えるより、「どこが5点分うまくいったのか?」と振り返ることで、前向きな修正がしやすくなります。
また、「結果」だけでなく「行動できたこと」自体も評価対象にしましょう。
・勇気を出して相談した
・メモを書いた
・違う方法を試した
それだけでも十分な前進です。
ステップ3は、自分を責める時間ではなく、次の一手をより良くするための作戦会議です。
小さな修正を重ねることで、問題解決力は自然と高まっていきます。
このように整理すると、認知行動療法の考え方に沿って、自分で行動を変えていくプロセスが自然に身につきます。
日常で使える具体例
問題解決技法は、状況に合わせて柔軟に応用できます。
理論だけではなく、実際に日常の場面で試してみることで、効果を実感しやすくなります。
仕事でのストレスへの応用
仕事でのストレスは、誰もが経験する身近な問題です。
例えば会議や上司からの指摘で落ち込んだ場合、次のようなステップで整理してみましょう。
ステップ①|困りごとを明確にする
例)上司から指摘されたことに落ち込む。
事実:会議で「準備不足」と言われた
感情:ショック・恥ずかしい・悔しい
考え:「自分は評価されていないのでは」「能力が足りないのかも」
このように整理すると、問題の焦点が見えてきます。
ステップ②|解決策を具体的に考える
整理した内容をもとに、「何を変えれば状況がよくなりそうか?」を考えます。
今回のケースなら、考えられる選択肢は次のようになります。
・上司に「どの点が準備不足だったか」具体的に確認する
・会議前に資料を第三者にチェックしてもらう
・準備リストを作って、事前確認の抜け漏れを防ぐ
・発言内容を事前にメモにまとめておく
・会議後にフィードバックをもらう時間を作る
このように、“次に自分が取る具体的な行動”まで落とし込むことがポイントです。
ステップ③|実行して振り返る
上記で考えた解決策の中から、まずはひとつだけ選んで実行します。
全部を一度にやろうとすると負担が大きくなるため、「これならできそう」というものから試します。
例:今回選んだ行動
「上司に、どの点が準備不足だったのか具体的に確認する」
実際の行動としては、たとえば次のようになります。
「先日の会議で“準備不足”とご指摘いただきましたが、具体的にどの部分を改善すればよいか教えていただけますか?」と、上司に確認する。
解決策をここまで具体的に落とし込めると、頭の中の“なんとなく不安”が減っていきます。
行動のイメージができているため、「できるかどうか」ではなく「いつ実行するか」を考える段階に入り、一歩を踏み出しやすくなります。
人間関係のトラブルへの応用
家族や友人との衝突も、日常的に起こりうる困りごとの一つです。
問題解決技法を使えば、感情的になりすぎず、冷静に次の行動を考えられます。
ステップ①|困りごとを明確にする
例)友人にメッセージを送ったが、既読のまま返信がない
まずは、起きたことを整理します。
事実:
・昨日の夜にメッセージを送った
・既読はついているが返信がない
感情:
・不安
・寂しさ
・少し怒りもある
浮かんだ考え:
・嫌われたかもしれない
・何か悪いことを言ったかもしれない
・自分は大切にされていないのではないか
このように書き出すと、「返信がない」という事実と、「嫌われたかもしれない」という解釈を分けて考えられるようになります。
何に一番つらさを感じているのかが、少しずつ見えてきます。
ステップ②|解決策を具体的に考える
整理した内容をもとに、「今できることは何か?」を考えます。
ここでは、抽象的なアイデアで終わらせず、“実際に取る行動”まで具体化します。
たとえば、次のような選択肢が考えられます。
・もう少し時間を置いてみる
・「急ぎじゃないから大丈夫だよ」とフォローのメッセージを送る
・直接会ったときにさりげなく聞いてみる
・自分の不安が強くなりすぎないよう、別の予定を入れる
・他の友人との交流を増やす
しかし、問題解決技法での解決策は、「何を・いつ・どうするか」まで具体的に落とし込みます。
たとえば、
・「48時間は追加連絡をしない」と決め、通知をオフにする
・「急ぎじゃないから落ち着いたときで大丈夫だよ」と具体的な文面で送る
・会ったときに「この前忙しかった?」と軽く確認する
・返信を待つ間、30分散歩するなど別の行動を決める
・別の友人に具体的な日程を提案する
このように、抽象的なアイデアを“実際に取る行動”まで具体化すると、実行しやすくなります。
ステップ③|実行して振り返る
ステップ②で挙げた解決策の中から、「今の自分にとって一番実行しやすいもの」をひとつ選びます。
すべてを試そうとする必要はありません。まずは負担が少なく、効果が期待できそうなものから取り組んでみましょう。
例:今回選んだ行動
「この前のメッセージ、急ぎじゃないから落ち着いたときで大丈夫だよ!」と、フォローのメッセージを送る。
実行したら、次の3点を整理します。
① 何が起きたか(事実)
・友人から「仕事が立て込んでいた」と返信が来た
(または、まだ返信はない)
② 自分の気持ちはどう変わったか
・安心した
・少し不安は残るが、前より落ち着いた
③ 次に活かせることは?
・「返信の遅さ=嫌われた」と決めつけなくていいと分かった
・次回は24時間は待ってから判断する
もし思うような結果にならなかった場合も、「別の方法を試す」という次の一手を考えます。
行動したことで得られた気づきこそが、次の場面での安心材料になります。
セルフで実践するときのポイント3つ
問題解決技法を自分で取り入れる場合、手順を理解するだけでなく、目標を明確にして小さなステップで進めることが効果的です。
焦らず、自分のペースで取り組むことを意識しましょう。
①目標設定を先に行う
目標は「どんな状態を目指すか」を決めることです。
行動そのものではなく、“到達したい状態”を言語化します。
●仕事での悩み例
例)会議で「準備不足だね」と上司に言われて落ち込む場合
「会議で同じ指摘を繰り返さない状態を目指す」
「会議後に強く落ち込みすぎない自分になる」
「指摘を“攻撃”ではなく“改善点”として受け取れるようになる」
「準備に対して自分なりの基準を持てるようになる」
●人間関係での悩み例
例)友人から返信が来なくて不安になる場合
「返信が遅くても、すぐに“嫌われた”と決めつけない状態を目指す」
「不安になったときに冷静に考え直せるようになる」
「人との距離感に振り回されにくくなる」
「自分の不安を自分で整えられるようになる」
目標が定まると、次のステップで考える解決策もブレにくくなります。
②無理なく取り組む
小さなステップから始め、習慣化を意識します。
完璧を目指さず、少しずつ慣れていくことが重要です。
焦って一度にすべてをやろうとすると挫折しやすいので、「今日はこれだけ」と決めて取り組むのがおすすめです。
③振り返りを習慣化する
達成度や困難を整理し、次の行動に活かします。
うまくいかなかった=失敗ではなく、学びの材料として捉えることが大切です。
振り返ることで、自分の成長や改善点が可視化され、次のステップを計画しやすくなります。
まとめ
問題解決技法は、認知行動療法の中の重要な技法のひとつで、日常や仕事の悩みに応用できます。
「困った状況を整理する → 解決策を考える → 実行して振り返る」というシンプルなサイクルを意識すると、自然に行動力や対応力が身につきます。
まずは身近な問題から試してみると、認知行動療法の考え方を自分の生活に取り入れやすくなります。
焦らず少しずつ、自分のペースで取り組むことが成功のポイントです。



