変形地、狭小地住宅で設計するロフト
境界線と外壁間の距離を確認する
狭小住宅を設計するに当たり、注意しなくてはいけない点はいくつかあります。その中でも気をつけなくてはいけないのが、この境界線と外壁間の距離です。
これは民法第234条で定義されている法律で、建物を築造するには、境界線から50cm以上の距離を保たなければならないと言うものです。
そしてこれに違反した場合、
「隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、またはその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる」
となっています。
ただし例外として、下記の2つのうちどちらかであれば50cmの距離は遵守しなくても良いとされています。また民法236条には、「前2条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う」というものもあります。
狭小住宅の場合、元々が狭い土地ですから、できることであれば最大限活用したいところです。そのためにもまずは周囲の状況を確認する。その上で事前に隣地の所有者と話し合い、後々トラブルにならないようにしなくてはいけません。
ただし、隣地の所有者の了解を得て50cm以内に建物を作れるとなった場合においても、いずれリフォームをする際の外壁工事で足場を組むスペースを考慮に入れ、最低でも隣地のスペースも含めて60cm(隣地30cm+自地30cm)は開けておいた方が良いでしょう。
エアコン室外機、プロパンガスなどの接地場所を考慮する
他に、設計段階において気を付けなければならないのが、エアコン室外機やプロパンガス、キッチンの排気口などの設置場所です。
隣地との境界線ギリギリに設計すると、後になってエアコン室外機を設置する場所がないといったことになる可能性もあります。
ベランダなどに置ければ問題ありませんが、狭小住宅の場合、居住スペースを広めにとることに意識が行き過ぎて「室外機の大きさを忘れてしまった」といったことにならないように、注意してください。
同様に都市ガスではなくプロパンガスを使用している地域では、プロパンガスの置き場も設計時点に決めておかなくてはいけません。
またキッチンの排気口が隣地の窓の前などにならないよう、隣地の間取りも考慮した設計が必要です。
生活動線を第一に考える
狭小住宅では、採光やいかに限られたスペースを有効に使うかを第一に考えがちですが、それ以上に生活動線が重要となります。
制約が多い狭小住宅において、洗濯機置き場が1階でベランダが3階などといった配置にならない工夫が必要です。
また引っ越しの際に、大きな家具や電化製品など、分解して持ち込めないもののためにも玄関、廊下、階段のサイズもしっかりと考慮の上、設計をしなくてはなりません。