狭小住宅の上手なスペースの取り方
変形地の種類
変形地住宅とは、言葉の通り変形地に建てられた住宅を指しています。では、ここでいう変形地とはどういった土地のことなのでしょう。まずは典型的な変形地をいくつかご紹介いたします。
【1】形が正方形、長方形でない土地
いわゆる変形地です。三角形、五角形、台形など変則的な形の土地です。また一部に段差があるような土地も含みます。
【2】細長い土地
長方形ではありますが、例えば縦が5~6mに対して横が50mもあるような縦横のバランスが著しく悪い土地も変形地の一つです。長屋や京町家など、古くからある住居ではこの形のものが多く、俗に「うなぎの寝床」とも呼ばれています。
【3】旗竿地
元々、一軒の家が建っていた場所を分割した奥の土地などを旗竿地と呼びます。家を建てる際には、法律で道路に最低でも2mは接していないといけないと決められているため、道路につなげる部分が旗竿のようであることが語源となっているようです。
【4】傾斜地
丘陵地や崖の途中、もしくはその上にあるような土地も変形地の一つです。
これら変形地は、正方形や長方形といった一般的な土地に比べると、家が建てづらいというデメリットがあります。しかしその分、土地代が安く抑えられているというメリットがあり、間取りやデザインを工夫さえすれば、自分が希望する家を建てることも可能です。
変形地の選択をする際の注意点
変形地は、基本的には規格型住宅を主とするようなハウスメーカーには敬遠されがちです。しかし工務店や設計事務所などは、変形地での住宅設計、施行を得意としているところもある上、建設技術の進化もあり、変形地だからといって必ずしも購入を断念する必要はありません。
ただ、それでも場所によっては、最新の技術を持ってしても建設が難しい変形地があるのも確かです。では変形地を選択する際に注意するべき点とはどういったものなのでしょう?
【1】建設に関する制約を確認する。
建ぺい率や容積率、道路斜線や北側斜線など一般的な地形であっても建設には様々な制約があります。変形地は変形という制約が既にある訳ですから、そこにさらに様々な制約が重なれば、理想の家を建てることは非常に難しくなります。
【2】建設時にかかる費用を具体的に検討する。
旗竿地などで、前の道路は広いので工事車両なども問題なく入れると思っていても、いわゆる竿に当たる部分に車が入れないとなると、工事の手間は何倍にも増えます。竿の部分の土地に車の出入りができるかどうかを調べることは必須と言えます。
また細長い土地で、手前に駐車場を作り奥に家を建てる場合、電気や水道管などを奥まで引き込むのにも手間や予算が思った以上に増えることがあります。せっかく安く土地を手に入れたとしても、予想していなかった部分で費用がかかる可能性が高いため、事前の調査や検討は十分すぎるぐらいにしておく必要があります。
絶対に選んではいけない変形地
最後にどんなに調査や検討をしたとしても、できれば避けた方が良い変形地として袋地を挙げたいと思います。
袋地とは一見、旗竿地と同じ様に思えますが、竿に当たる部分が自分の土地ではなく、手前の人、もしくは別の人の土地で、道路に出るために隣地の一部を通行する権利である囲繞地通行権だけを有している土地のことを言います。
特に建設時に何か起きた時には賠償金が発生する可能性もあり、制約も多くトラブルが起きやすい土地といえます。こういった土地はどんなに安くとも避けた方が無難です。