歴史あるゴルフのキャディーで、最高のスキルアップ!

谷光高

谷光高

テーマ:キャディー付きのゴルフマナー&ルール

キャディーの歴史

ゴルフにおけるキャディー (caddie) とは、プレーヤーのバッグやクラブを運んだり、プレーヤーにコース情報や助言を与えたり、またプレーヤーの士気を鼓舞する役割も果たします。ゴルフ規則では、「規則にしたがってプレーヤーを助ける人」と定義されています。

キャディーの歴史は古く、約450年も遡ります。日本では、武田信玄と上杉謙信が川中島で戦っていた戦国時代の頃です。
キャディー(Caddie)の語源は、通説ではフランス語の“Cadet”がスコットランドで転訛(発音が訛って変わること)したものと言われています。

1561年、世界で初めての女性ゴルファーとして知られるスコットランド女王のメアリー・スチュアートがフランスから12年ぶりに帰国したときに、フランス貴族の若い子弟(Cadet)を多数小姓または近習として連れてきたのが、その後次第にスコットランドで使い走り(メッセンジャー)や運搬人(ポーター)という意味に使われ、それがついにゴルフでクラブを運ぶ者の専用語になったということです。

“caddie” ないし“cadie” と綴るキャディーが初めて英語に現れたのは1634年と言われ、18世紀のスコットランドでは、誰であれ、荷物を運ぶために雇われた者を「キャディー」と称するようになっていました。

次にキャディーという用語がゴルフ規則に載ったのは1775年で、次のように書かれていました。
「もしボールが、相手またはキャディーによって止められた場合は、相手はそのホールを失う。またもしボールが自分のキャディーに当たったときは、そのプレーヤーがそのホールを失う」
当時はすべてマッチプレーで行われていました。現在同様、プレーヤーとそのキャディーを一体と見なす精神は、すでにこの時には定められていたということです。

日本のキャディー事情の移り変わり

日本では、競技プロゴルファーと帯同する“プロキャディー”とは別に、ゴルフ場で一般のゴルファーのために働くキャディーを“ハウスキャディー”と呼んでいます。
ハウスキャディーは、各ゴルフ場が正規、非正規問わず直接雇用する場合が多いのですが、現在ではキャディー業務の請負業者が、契約ゴルフ場へキャディーを派遣している場合も多くなっています。

キャディーになるためにはある程度のゴルフに関する知識が求められますが、雇用困難の現在においてはゴルフの経験を問わず、学生や主婦などがハウスキャディーとして従事しています。

プロゴルファーと契約して専属プロキャディーとなるためには、ゴルフに関する専門的な知識や技能が必要となります。プロキャディーとなるための必要な資格は特にありません。しかしプロキャディーとなるためには、かなりの実力者として認められる必要があります。
ゴルフが好きである事はもちろんですが、重いゴルフバッグを抱えてコースを回るのは、かなり肉体的にもハードな業務です。

ハウスキャディーもプロキャディーと同様にキャディバックを運び、ボールの行方を見て、コースのアドバイスをするという意味では同一の業務ですが、契約プロゴルファー1人の勝利のために共闘する“プロキャディー”と、お客様としてゴルファー4人を接客する“ハウスキャディー”とでは全く違う職種といえます。

1901年にイギリス人のアーサー・グルームによって神戸ゴルフ倶楽部がつくられたところから日本のゴルフが始まりました。
その神戸ゴルフ倶楽部のオープン当時から、「玉ひろい」と呼ばれていた六甲山麓の村の少年たちがいました。
これが日本のハウスキャディーの始まりです。

以来、次々にゴルフ場が建設されていき、上流階級の社交的スポーツとしてゴルフが受け入れられるとともに、近隣村の子供や女性によるキャディーが増えていきました。
第2次大戦後、ゴルフブームでゴルフがさらに広まるとともに、キャディーのニーズが増し、それぞれのゴルフ場で100人以上のキャディーを雇用するようになっていきました。
そのような状況ですからハウスキャディーの接客業としての質が問われることもありませんでした。当時は対応が横柄なキャディーも多かったと聞きます。

その状況はバブル経済の終焉、そして同じ頃に登場した4人・5人乗りゴルフカートの登場とともに一変します。
バブルの終焉とともに不景気の大波が押し寄せ、人々の心がゴルフから離れ、それまで人でごったがえしていたゴルフ場が閑散となりました。
そして4人・5人乗りゴルフカートの登場により、キャディーを必要とすることなくセルフプレーでプレーできるようになりました。
キャディーはプレーフィーの低下と経費削減の両面から矢面にさらされ、あっという間に全国的にセルフプレーのニーズが広がっていきました。

それでもゴルフというゲームが持つ特性上、企業による利用が減少したとはいえ、取引先コンペや接待プレーなどでのキャディーへの要望は少なからずあります。
ですから、多くのゴルフ場では完全にキャディー付きをなくすということはできず、キャディー付きとセルフのどちらでも選べる選択制とするようになりました。

(ハウス)キャディーは、最高難度の接客業務

少なからずハウスキャディーを維持していく以上、ゴルフ場としてはキャディーに対して高度なの接客レベルを要求するようになりました。

良いキャディーは、ゴルフ・コースの難関や障害を承知しており、最善の戦略を立てることができます。こうした知識の中には、コースの長さ、ピンの位置、クラブの選択などすべてが含まれます。これらのアドバイスに加え、クラブの受け渡し、ゴルフカートの移動、ボールの行方を見るなどという従来の接客業務に加え、お客様にゴルフを存分に楽しんでもらう「おもてなしの心」が要求されるようになりました。

お客様との適切な会話をする、お客様のボールをキレイに拭く、常にお客様のゴルフ道具を美しく保つ、そして、その他のお客様の要望に応える等々の「おもてなしの心」が必要となりました。

お客様がキャディーに対して求めているものは、必ずしも皆同じではなく、また状況によっても変わってくるものなので、常にアンテナを張り巡らせていなければなりません。
それぞれのお客様の要求に答えていきながら、全員がプレーに集中できる良い環境を作り出していくことが大切であり、それが求められている「おもてなしの心」となります。

ハウスキャディーは同時に4人のお客様に対し、これらの業務を18ホール約6時間に渡って遂行していきます。

このような接客業は他にあるでしょうか?
「体力」はもちろん、周囲への「観察力」と瞬時に見極める「状況把握力」、他にめいわくを掛けないように「規律性」を重視し、適切なプレーペースをつくるためにお客様を導いていく「主体性」や「実行力」、そしてあらゆる世代や違う環境の人たちを長時間に渡って楽しませるという「コミュニケーション力」、これらのスキルを全て兼ね備えた業務が、現代の日本におけるハウスキャディー業務といえます。

「キャディー」業務は学生にとって最高の社会経験

日本全国には、ゴルフ部や研修生の他にもゴルフに縁のない一般学生も含め、「学生アルバイトキャディー」が数多くいます。学生にとってみれば、これ以上とない社会体験であることに間違いありません。

キャディーをしていると様々な企業の代表者や重役と接する機会を数多く持つことができます。それまでの近い年齢同士の「横の関係」から世代を越えた「縦の関係」の第一歩を踏むことになります。それもいきなり社会の中で重い責務を持った方々とコミュニケーションを取っていくことになるのです。
そしてこれらの方々が自分に何を期待しているのか、何を求めているのかを感じて、それを実行していく能力を身に付けるわけです。

たしかに学生がキャディーとしてお客様に受け入れられるのは容易ではありません。
学生とはいえ、ベテランキャディーと同額のキャディーフィーをお客様は支払っているのです。経験の別なく同様のサービスが求められて当然です。
学生キャディー
学生たちは皆、最初は単なる“高給アルバイト”としてゴルフ場に飛び込んできます。
研修中に様々なことを短期間で詰め込まれるうちに「やっぱ、ムリ!」と言って辞めていく学生は数多くいます。その中でキャディーを「楽しい!」と感じてくれる学生は、そのほとんどが卒業まで止めることなく業務を全うしてくれます。

学生は限られた時間の中で、これらの様々なスキルを身に付けていくことになります。当然、スキルの中でも得手不得手が出てきます。そうすると、キャディーは自分自身で素直に短所を認め公表し、より長所を伸ばす努力をするようになります。そうすることによってお客様に喜ばれるということが、日々の経験により理解できるからです。けっして背伸びはしません。
「分からないことは分からない」と言い、「自分に出来ることを精一杯実行する」ということを自然に学んでいくのです。

キャディーで得られた数多くの体験から、彼らは“社会人即戦力”といっても過言ではありません。
キャディーという存在が、これからの日本ゴルフの発展、そして日本社会の発展に寄与できる存在となることを願っています。

ゴルフ規則で定められたキャディーとは

規則に従ってプレーヤーを助ける人をいい、「助ける」にはプレー中にプレーヤーのクラブを運んだりクラブを扱ったりすることを含む。
1人のキャディーが複数のプレーヤーによって雇われている場合、そのキャディーを共用しているプレーヤーの球(またはそのプレーヤーのパートナーの球)が関連しているときは常にそのプレーヤーのキャディーと見なされ、そのキャディーの持ち運んでいる携帯品はすべてそのプレーヤーの携帯品とみなされる。ただし、そのキャディーがそのキャディーを共用している他のプレーヤー(または他のプレーヤーのパートナー)の特定の指示にしたがって行動していたときは、例外として、指示を与えたプレーヤーのキャディーとして扱われる。

■参考文献
「偉大なるゴルフ」摂津茂和著:ベースボールマガジンン社
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谷光高
専門家

谷光高(ゴルフ場経営者)

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

一部の人が楽しむゴルフから、誰もが気軽に楽しめるゴルフへ。日本のゴルフ文化を変えるため、ゴルフ初心者へのサポートや子どもたちへのレッスン、学校の授業などを行い、初心者にゴルフを楽しむ機会を提供している

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