高齢社員によるゴルフ場「グリーンの刈込み」作業

谷光高

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テーマ:仕事もゴルフも元気に楽しくいきいきと

求職高齢者の雇用で、弊社は2度テレビに取り上げられましたことがあります。フジテレビの報道番組「新報道2001」と読売テレビの情報番組「かんさい情報ネットten」という2つの番組です。

両方の取材とも取り上げられた主業務は、早朝から高齢社員がパッティンググリーンを“芝刈り機械”の操作をしながら一緒に歩いて刈る「グリーンの刈込み」作業でした。
早朝朝焼けの中、高齢者が気持ち良さそうに、颯爽とグリーンの上を歩いている姿が絵的に良かったのだと思います。
たしかにゴルフ場でしか見ることができない、またゴルフ場でしかすることができない仕事です。

グリーンの刈込み作業について

ゴルフコースにおける“芝生の刈込み”という仕事は、見た目を美しく仕上げ、プレーに適したターフ(=生えそろった芝生のこと)を維持する上で、ゴルフ場にとっては最も重要な管理作業といえます。

“芝生の刈込み”なくして、ゴルフをプレーする良質な「スポーツターフ」を維持することはできません。
芝生の適切な刈高や刈込頻度は芝生の種類やコースの場所によって異なりますが、適正な刈込みを続けることによって芝の葉の密度が高くなり、品質の良いターフを形成します。

そんな“芝生の刈込み”作業の中で、最も重要なのが、ゴルフコースの命とも言える「グリーンの刈込み」作業です。
グリーン刈込
パッティンググリーンは、美しくてボールがスムーズに転がるターフが求められます。
スムーズにボールが転がる良好なパッティングクオリティーを維持するために、積雪や凍てつく冬期以外は、原則的に休場日以外は、毎日刈込み作業をします。

有馬カンツリー倶楽部の刈込み作業

有馬カンツリー倶楽部では、刈幅26インチの「グリーン・モア」というエンジン付きの自走機械を使い、「機械の操作をしながら」と言うよりも、ハンドルに手を添えて刈る方向を定めながら一緒に歩いて刈っていきます。業界でいうところの「手刈り」です。

「グリーンの刈込み」作業は、朝一番にスタートするプレーヤーがグリーンを使用するまでに作業を終えなければなりません。
1ホールに掛ける作業時間は約30分程度を要します。そのため最低でもスタート時間の30分前には作業を開始しなければなりません。
作業は18ホール全てのグリーンと練習用グリーンで行います。
練習用グリーンも含めた全てのグリーンが、同じパッティングクオリティーを維持できるように、全く同じ管理をしていかなければなりません。
そのため毎日、全てのグリーンを刈ることになります。

弊社では、原則として1人で3ホールのグリーンを担当しますので、毎朝計7人で分担し作業しています。
Aさんは1、4、7番ホール、Bさんは2、5、8番ホール、Cさんは3、6、9番ホールというように担当します。これによりプレーヤーに追いつかれることなく、作業時間にゆとりができます。移動時間や準備、後片付け時間もいれて約2時間の作業となります。

また、毎日、刈る方向が同じになって、スムーズな転がりに支障をきたさないように「刈る方向のパターン」を決めてローテーションしています。
刈込みパターン
経費削減による作業効率化や人件費削減が進む昨今では、機械に乗って刈る「乗用3連グリーン・モア」を使うゴルフコースが増えています。
この機械を使うと、作業人員は最低1人、多くて2人で済みます。
弊社でも12年前、事情により約2か月間、この「乗用3連グリーン・モア」で刈りました。
乗用3連グリーンモア
その時のグリーンの状態が思わしくなく、均一なグリーンを維持することができず、転がりに影響を及ぼすことになってしまいました。それ以来弊社では、必ず「手刈り」でグリーンを刈ることに決めました。

「グリーンの刈込み」作業の高齢者募集

この大切な「グリーンの刈込み」作業は、刃が高速回転していますので、非常に危険な機械による作業とも言えます。しかし、しっかり安全に注意すれば誰でもできます。練習すれば誰でも扱うことができます。だから高齢になってからでも始めることができるのです。
ただし、毎朝歩く“元気”は必要です。

この短時間作業だけを高齢者にお願いするきっかけは、この早朝のプレーヤーが一人もいない時間帯に正規雇用社員に薬剤や肥料散布など、他の重要作業をさせたかったからです。
薬剤散布やエアレーション(穴あけ)などの芝生の更新作業などは複数人で行う必要があり、毎朝、正規社員の内の7人が「グリーンの刈込み」作業に従事すると、ほかの作業が進みません。

そこで、「短時間労働でもOK!」と言ってくれる求職高齢者の雇用を考えたのです。
このときの募集のキャッチフレーズは、

「毎朝散歩する代わりに、グリーンを刈りながら7000歩を歩きませんか?」

としました。

とくに高齢者と特定しませんでしたが、狙い通り!近所の高齢男性が大勢応募に来てくれました。
そして足腰が元気そうな方々を5名採用しました。

みなさん面接時に応募した理由を聞くと、申し合わせたように同じことを言われました。

「大好きなゴルフに少しでも携わっていたいから!」と。
手刈り
こんなにも人の心を魅了するゴルフ。
そしてその人の生きがいとして必要とされているゴルフ。

雇用する側として、人生経験豊富な高齢者の方が無邪気な顔で嬉しそうに面接を受ける姿を見ると「採用です」と言うしかないありません。
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谷光高
専門家

谷光高(ゴルフ場経営者)

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

一部の人が楽しむゴルフから、誰もが気軽に楽しめるゴルフへ。日本のゴルフ文化を変えるため、ゴルフ初心者へのサポートや子どもたちへのレッスン、学校の授業などを行い、初心者にゴルフを楽しむ機会を提供している

谷光高プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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