ゴルフにはびこる「誰かがやってくれるだろう」

谷光高

谷光高

テーマ:社会人に役立てて欲しい「ゴルフの効用」

集団や組織が大きくなるほど手抜きをする

大人数が集まる会議で発言する人はいつも決まって同じ人・・・なんてことはありませんか?
けっして黙ってうつむいている人に意見がないわけではありません。
そういう人たちの中にも、少人数や対面でのミーティングでは活発に意見を出す人もいます。

では、なぜ大人数を前にすると無口になってしまうのでしょう。
「注目されたくない」という気持ちもあるかもしれません。
また、「ほかの誰かが発言するだろうからいいや」という心理が働いているととも考えられます。
おさぼりビジネスマン
人は集団行動や共同作業をするとき、無意識のうちに手を抜いてしてしまうことがあるそうです。集団が大きくなればなるほど、「ほかの誰かがやるからいいや」と無意識のうちに発揮する力を弱めてしまうというのです。
これを「社会的手抜き」、あるいは「リンゲルマン効果」といいます。

「綱引き」が明らかにしたリンゲルマン効果

この効果を発見したのは、フランスの心理学者マクシミリアン・リンゲルマン(Maximilian Ringelmann 1861 - 1931)という人です。

リンゲルマンは、何人かのグループで綱引きをさせて「手抜き」加減を実験しました。そこには興味深いデータ結果が表れました。

1人で綱引きをした時の力の入れ方を“100”とすると
2人で綱引きをした時は、一人当たりの力が“93”に減少したそうです。
さらに3人で綱引きをした場合は“85”になりました。
そして、8人で綱引きをした場合は、一人当たりの力が“49”にまで減少したそうです。
リンゲルマン効果
リンゲルマンは『集団になればなるほど、「他の人がなんとかしてくれるだろう」という手抜きの心理が無意識のうちに働いてしまうのではないか。』ということを発見しました。

自分がやらないといけないようにする

例えば、電車のホームで人が倒れているとします。
ホームに自分しかいない時は、迷わず手を差し伸べる傾向にあるようです。
しかし、このホームに多くの人がいた場合は、なかなか手を差し伸べようとはしないのです。

「自分じゃなくても、他の人がなんとかしてくれるだろう」

学校や会社での大掃除、ワイワイ騒ぐだけで対して働いていないという人は、こうした計算を意識的にしているのでしょう。

「みんなで力を合わせて頑張ろう!」などとよく言いますが、皮肉なことに、実際には大人数になればなるほど作業効率は下がっているのです。

こうした事態を防ぐには、グループを少人数にして責任の所在を明確にする必要があります。
例えばグループが3人であれば、そうそう手抜きはできません。自分がやらなければ、すぐに残りの2人にばれてしまうからです。

蔓延しているゴルフの「手抜き」

ゴルフにおいても「社会的手抜き」が見受けられます。

例えば、プレーの進め方について。
ゴルフでは同じ組のプレーヤー全員で役割を分担し、効率よくプレーを進めていかなくてはなりません。

「誰かがゴルフカートを動かしてくれるだろう」
と一人で先へ先へと進んで行っては困ります。

「誰かが“フォー!!”と叫んでくれるだろう」
と隣のホールへ打った張本人が、黙ってボールの行方を見ていては困ります。

同じ組の人たちで手分けして、「みんなでやる」ことが大切です。「誰かがやるだろう」と好き勝手に動いていては、その組全員が、適切なプレーペースを保って、安全に楽しくゴルフプレーをすることはできません。

また、コースの保護についても、

「誰かが(自分がつくった)バンカーの足跡を均してくれるだろう」
「誰かが(自分がつくった)グリーン上のボールマークを直してくれるだろう」
「誰かが(自分がつくった)フェアウェイのディボットを戻してくれるだろう」
ディボットを直せ!
「誰かが・・・・」

では、後から来るプレーヤーが困ってしまいます。

誰も直さないで放置してしまうと、誰がつくったバンカー内の足跡か、誰がつくったボールマークか、誰のディボットかが、次の組の人、またその次の組の人には全く分かりません。

だから「自分がやらなくても、どうせ誰にもわからない」
「誰かがやるからいいや」という考えが生まれてしまうのです。
バンカーの砂を均さないと・・・
それなのに人間は
自分がしたことより、自分がされたことの方ががよほど気になります。

自分の打ったボールが、

「誰も均さなかったバンカーの足跡にボールが入った!」
「誰も直さなかったボールマークがパットのライン上にあった!」
「誰も直さなかったディボットにボールが入ってしまった!」

こんなときには、誰もが腹立たしく思うでしょう。

今以上に「手抜き」が蔓延する状態になってしまうと、放置がさらに進んでしまいます。
ゴルフは、何百年もレフェリーの要らないスポーツとして成立してきました。ゴルフを大切に育んできた先人たちに恥じないような行動を心がけるようにしていきたいものです。
ボールマーク
ゴルフは個人スポーツでありながら、プレーの進行については共同作業といっても過言はありません。状況に合わせて役割を分担をし、安全に効率よく、そして後続の組に迷惑を掛けないように進んでいきましょう。

「みんなで協力してやらなければ楽しくプレーできない!」という環境を作ることが大切ですね。
神様は見ています・・・。
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谷光高
専門家

谷光高(ゴルフ場経営者)

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

一部の人が楽しむゴルフから、誰もが気軽に楽しめるゴルフへ。日本のゴルフ文化を変えるため、ゴルフ初心者へのサポートや子どもたちへのレッスン、学校の授業などを行い、初心者にゴルフを楽しむ機会を提供している

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