ゴルフでも「人のミス」を願っているようでは困ります

谷光高

谷光高

テーマ:社会人に役立てて欲しい「ゴルフの効用」

人の不幸は蜜の味

毎日、芸能人のゴシップ、政治家や著名人の失言などをおもしろおかしく取り上げた情報が、メディアやネット上をにぎわせています。これをみる限り、「ひとの不幸」を楽しんでいる人がどんなに多いかと考えさせられます。

「人の不幸は蜜の味」という言葉があります。
何とも寒々しい言葉ですが、共感する人が多いからこそ、慣用句として使われるようになったともいえるでしょう。

「玉の輿に乗った同僚が離婚した」
「エリート一家の長男が大学受験に失敗した」
といった噂を、非道徳的だと思いつつも、頭の片隅で少し喜んでいる感覚を理解できる人もいるでしょう。
人の不幸は蜜の味
「大変ですね」「早く立ち直れればいいけれど」という同情の言葉も、「いい人と思われたい」という気持ちからくるカムフラージュ…というときもしばしば。

こういった優越感に浸る心理は、誰もがごく普通にもち得る感情です。
学歴や勤め先などをやたらと聞きたがる人にも、それと似た心理があるそうです。
これらは、相手の情報の中から弱点を見つけて優越感に浸りたいという願望によるものということです。

人は他者との比較において、自己の優劣を決めがちです。また自尊感情が低いほど、その傾向が強くなります。

同僚の出世を聞き、「あいつより俺の方ができるのに、それを見抜けない上司はアホだ」
と腹を立てるという人の幸せをねたましく思う気持ちも、他者と比べて自分が劣っているように思え、劣等感が刺激された結果の反応です。

嫌いな人が評価されているとイヤな気持ちになり、逆に不幸な目にあっていたら、しめしめと思う。大なり小なり、人間はそういう部分をもっていると思います。
「悪口はひとを傷つけます」「うわさ話は良くないことですよ」と正論を言われても、そんなことは誰しも分かっています。
分かっているのに、「人の不幸」はこんなにも人間の心を惹きつけてしまうのです。

「妬み」や「嫉妬」とうまくつきあっていくには

しかし、品格ある人間を目指すならば、それらの「妬み」や「嫉妬」の醜い心は、理性で無くしたり抑えていかなければなりません。

人に「嫉妬」を感じるのなら、それを潰してやろうとか、それに憎しみを感じたり、場合によっては悪口を言ったり、いびるような態度をとるのではなく、何とかして、その人に勝とうと思えるような「嫉妬」に方向性を変えていかないといけません。

そうやって逆手にとれば、「嫉妬」も生産的な感情に転化できるし、そうなった時の「嫉妬」のエネルギーは、他の感情エネルギーに比べてもなかなかのものとなり得ます。
笑っちゃダメ!
その人の何が優れているのかをきちんと分析して、それを自分でも身につけるなり、それ以上の能力を身につけていく必要もあるでしょう。
どうしても、その人に勝てないと思った場合は、自分が勝てる分野を探すことも大切です。人間の能力というのは一元的なものではありません。
例えば営業で負けても調整能力で勝てるなら、別の方向からの評価も高まります。

ビジネスパーソンたる者、負けること、嫉妬をすることそのものより、それをどう自分を高めることにつなげられるかを考えるほうが、これからの仕事人生に大きな影響を与えるのだと心しておきましょう。

ゴルフでは、人のミスを期待すると必ず自分にはね返る

ゴルフで同伴プレーヤーや“握っている”相手に負けたくないという心理は、ゴルファーの自然な感情です。この闘う精神は、ゲームを楽しむことであり、自らを高めるモチベーションにもなります。
ただし、品格あるゴルファーでありたいのであれば、フェアプレーの精神を忘れないようにしなければなりません。
ミスした人を笑わない
負けたくないという思いから、常に相手のミスを期待するようではいけません。
また、急に大声を出したり、相手がアドレスしているところにわざと影を落としたり、あからさまに相手のミスをさそうような、ゴルファーとしての品性を疑われる行為は絶対にしてはいけません。

相手のミスを願っている時点で、相手のプレーに怯え、自分のプレーに集中することができない状態を自らつくっていることになり、たとえ願ったように相手がミスしても、ミスは必ず自分にも返ってきます。また、相手がミスしなければ、今度はプレッシャーとなって自分にはね返ってきます。どちらにしても自分に都合の良いようにはなりません。

あくまでみずからのベストプレーだけを考え、心掛けることが重要なのです。

自分の価値は自分で上げるタイガー・ウッズの心理テクニック

近年は今一つ調子のでないタイガー・ウッズですが、世界最高を維持していたころのゴルフ心理です。

タイガー・ウッズは2005年10月の世界ゴルフ選手権最終日で、ジョン・デイリーと激しいデッドヒートをくり広げていました。18番ホールを終えたところで、ふたりはトップスコアで並んでいました。最後まで決着が付かず、優勝者を決めるためのプレーオフに入ることになりました。

そうして迎えた運命の17番ホール。タイガー・ウッズはロングパットをはずし、次はジョン・デイリー、距離1mのパット。これを入れれば、ジョン・デイリーの優勝が決まるという重要なパットです。

もしあなたがタイガーだったら、このときどう思いますか?

「はずせ!」と思いますか?
「入れ!」と思いますか?

ほとんどの人は前者ですよね?
その時タイガーは、心から本気で「入れ!」と願ったそうです。

結果は、ジョン・デイリーがパットをミスして、タイガーの優勝。

しかし、なぜタイガーはそう思ったのでしょう?
彼と親交の深いゴルフジャーナリスト、ハル常住(つねずみ)さんは、そのことについて説明をしていました。

「ジョン・デイリーのパットを“はずせ”と願ったにもかかわらず、ボールが入ったら、次のプレーへのモチベーションが下がってしまう。タイガーの中には、常に世界最高のプレーをする理想の自分がいるので、ライバルが入れてくれないと、そのプレーができないから「入れ」と心から願った、というのです。」

優勝が決まってもタイガーは、「こんな形で試合が終わって残念です。デイリーはとても美しいプレーをしていた。すばらしいゴルフをするデイリーとプレーできて本当に幸せでした」 と言っています。

結局、何をするにしても「人は人、自分は自分」ということですね。
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谷光高
専門家

谷光高(ゴルフ場経営者)

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

一部の人が楽しむゴルフから、誰もが気軽に楽しめるゴルフへ。日本のゴルフ文化を変えるため、ゴルフ初心者へのサポートや子どもたちへのレッスン、学校の授業などを行い、初心者にゴルフを楽しむ機会を提供している

谷光高プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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