ゴルフも仕事も、大切に思う気持ちは「身だしなみ」で伝わる
仕事人生における最高基準を見る
企業の研修で「人生で欲しいものは何か?」と尋ねてみると、かならずといっていいほど出てくる答えがあります。
それは「休日が欲しい」という答え。
これは日常のストレスから逃れたいと言っているのであって、欲しくないものの裏返しといえます。
仕事で不快なストレスがなく、仕事が楽しければ、「休日が欲しい」とは思わないでしょう。
特にサラリーマンの人は、多くを望まないような癖が付いているのではないかと感じるほどです。
仕事人生における究極の目標と何ですか?
それは言うまでもなく、基準を最高レベルに置いて、ずっと遠く先に見えるものが究極の目標です。
自分にとっての最高品質のサービスとは、どんなものでしょうか?
自分が業界最高レベルのプロになるとしたら、どんな最高の技術を身に付けたいでしょうか?
目指すのは、どんな最高基準の品質、サービス、技術でしょうか?
実現するかしないかはどうでもいいのです。
一度、最高の基準に自分を置いてみましょう。
その基準の品質、サービスをもし仮に実現したとしたら、自分の人生で何を手に入れることができるでしょう?
そう考えるだけで、自分の仕事に対して、今以上の情熱が生まれてきませんか?
ワクワクしてきませんか?
せっかくなら高いところで仕事をしたいと思いませんか?
「仕事でやりたいことがない」「やりたいことが分からない」と思っているなら、
それはやりたいことを見つけることをさぼっているからです。
「これがあなたのやりたいことです!」と書かれたメッセージカードが、どこかから飛んでくるわけではありません。
やりたいことや目標がないという人は、探す努力が足らないのです。
自分自身で体験し、考え、自分の感覚で判断するしかありません。
それでも分からなければ、自分の仕事の分野で大成功している人たちを、自分自身の目で実際に見てみることです。
技術者ならば、同じ分野で超一流の技術を持っている人を見つけ出して、話を聞かせてもらうことです。
サービス業ならば、お客様として一流のサービスの技を体験してみることです。
その瞬間に仕事の目標は明確になるはずです。
今、自分が置かれている環境の中で、人生において本当にやるべき価値のある仕事をみつけて、それに集中しましょう。
職業人にとって人生でもっとも時間を費やすのは、言うまでもなく仕事です。人生の7割の時間を費やしているのです。その仕事が自分にとって価値がないと思うのなら、人生も価値がなくなってしまいます。
仕事を楽しみましょう。そのためにワクワクするような、自分自身に情熱を作り出すために、チャレンジする価値のある大きな目標を持ちましょう。
そしてそれに向かって、今すぐ最初の一歩を踏み出しましょう!
ゴルフでも視線を上げて高い目標を持つ意義
高い目標を持つことについては、アマゴルフの達人の言葉が心に響きます。
「なろうと思って、私は全英アマのチャンピオンになった。
大事なのは目標だ。みなさんにも、もっと視線を上げてもらいたい。
決して遅くはない、なにかになろうと決心し、目標を持って欲しいのだ」
これは、英国アマの名選手マイケル・ボナラック卿(Sir Michael F Bonallack)の言葉です。
マイケル・ボナラック卿は、1934年生まれ。ゴルフの総本山R&Aの歴代キャプテンの1人であり、1961年から全英アマに5回優勝し、冷静なプレーぶりで知られ、とりわけ68年からの3連覇はアマゴルフ史に燦然と輝く大偉業とされています。ゴルファーとして超一流の達人でした。
12歳でゴルフを始めたボナラック卿は、13歳でゴルフの虜になり、いつか世界一のアマ選手になってやろうと誓いました。その決心を父親に伝えると、父は、
「なろうと思えばなれる。そう思い込むことが大事なのだ。ひとつだけ覚えておきなさい。まだ見ぬお前の対戦相手も、今日、今この時も練習している。」
とイギリス版「巨人の星」のパパのような言葉を掛け、ボナラック卿はそれ以後、猛練習を重ね、燦然と輝く結果を残しました。
仕事でもゴルフでも高い目標を持ち、それに向かって邁進することによって、意義ある人生を送ることができるのではないでしょうか。
ゴルファーの皆様へ、ボナラック卿のありがたいお言葉
最後に辛口コメンテーターとしても有名なボナラック卿の言葉を、いくつかご紹介します。
ゴルファーの心に矢がグサッグサッと突き刺さる文章の連続となりますので、一度大きく深呼吸してから声に出して読んでください。
『きみのゴルフは、クラゲみたいなものだ。ぷかぷかしているだけで、どこにも緊張感というものがない。よくそれで“ゴルファーをやっています”と人に言えたものだ。
単にゲームの上っ面をなでているだけ、本気で学ぶ姿勢がどこにも見当たらない』
『はっきり言おう。きみのゴルフは目的を持たないがゆえに進歩もしない。
次のゲームの予定が決まったところで、あわてて少しばかり練習して、それで終わりだ。
己の進歩の乏しさを嘆く前に、まず一人前の人間らしく、はっきりした目的意識を持ちたまえよ。
立派な大人は、例外なしに立派な目的意識を持っているものだ』
『すっかり聞き飽きて、もう二度と耳にしたくないゴルファーの言い訳がある。
おそらくきみも、過去に何度か口走ったことがあるはずだ。
“本当にゴルフは難しい”というセリフだ。
腰を据え、浸食を忘れて練習に打ち込んだ経験もないくせに、言うことだけは一人前。本当のむずかしさを体験した人は、魚屋がサカナ臭いと言わないように、難しいなどとは愚痴らないものだ。
口に出す前に、難しさを克服する努力を続けるのが真のゴルファーというものだ』
ボナラック卿は、ゴルフのマナーに対しても辛口発言をしています。
『ルールとマナーを勉強したまえ。スコアを口にするのは、それからだ』
『調子のいい日もあれば、まったくボールに当たらない日もある。
きみの人格が問われるのは調子の悪い日だ。
不機嫌、言い訳、八つ当たり、投げやり、そして自嘲的な態度。
まわりの人間は、そんなきみにうんざりしている。
二度と一緒にプレーしたくないと思い、君を軽蔑している。
ゴルフでは自己中心的な行動を絶対に慎まなくてはならない』
書きながら、頭をゴンゴン叩かれているような気がします。
言われて当然のことばかり。反論の余地もございません。
視線を上げて頑張ろうと思います!
参考文献
「セルフモチベーションマネジメント」野間健司/朝日新聞出版
「ゴルファーを笑え」夏坂健/新潮文庫
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