許すか、許さないかは「マウント思考」

村越真里子

村越真里子

テーマ:夫婦関係修復について

よく相談を受ける内容で、夫が不倫をして、謝らないという事を聞きます。

「夫が許せないんです」という相談者には、本来なら、「じゃ、別れたら?」と、少なくともカウンセラーとかの職業ではなく、一般人の他人であれば、「一緒にいられないなら別れるしかない」という結論になります。

でも、ここで気づいて欲しいのですが、貴女の夫が許しを乞うて来たら、許すか、許さないかが、判断の分岐点になります。
しかし、ご主人は許してくれとは言ってないのです。
もっと言えばご主人の方から、離婚や別居を口にしている事もあれば、貴女に許しを乞う気持ちはさらさらないという事になります。

それなのに、貴女は許せないという事に苦しんでいます。
いえ、表面上は、日常生活を取り戻すために、家の中では、普通に会話をされる努力をされ表面上は平和な夫婦を目指しています。
そんな中、気持ちがパンクしてしまい、早く日常を取り戻すために、夫に謝ってもらいたい。なんなら 謝ってもらった後は、前よりも中のいい夫婦になりたいと望まれています。

しかし、そういう思いをカウンセラーである私に話しかけられます。
もちろん、お気持ちは分るのですが、カウンセラーに告げる話の内容の真逆の態度をご主人には向けているのです。
しかも、夫を許すか、許さないかが、課題に聞こえてしまいますが、相手が許して欲しいと言ってこそ、許せないと事は言えるのですが、貴女は許せないという態度が先に出てしまう為に、苦しんでしまうのです。
ここで、本質に気付いて欲しいのですが、貴女は夫を許せないという心の奥は「許す資格、許してあげない資格」という事で、夫とペアであるという立ち位置を確保しているのです。
夫を叱っている内は夫は自分の物なのです。
夫を叱る権利がある。
それが貴女の気持ちを支えているのです。

夫を叱る事で、夫は自分の物という事を無意識で確認しているのです。
それなのに、つい夫に、辛口の言葉でしか接する事が出来ない事で、内心夫を許せてないという悩みを訴えられるのですが、実は許せないという事で自分のポジションを確認しているのです。

これらの事は私は女性同士だから分析も出来るのですが、男性のご主人からすると、貴女の強い言葉をこうした裏の心理を読み取るのが苦手です。

男性という生き物は、自分はあれこれ嘘を付くのに、女性の嘘の心は見抜けません。
だから、貴女が夫を許せないという強い態度を見せたなら、ご主人はその言葉を額面どうりに取ってしまいます。
だから、貴女は夫に強い言葉を言いながらでも、本音は夫を確保している確認のつもりでも、夫はその表面的な貴女の態度を、貴女の本音と感じてしまいます。
そうなると、貴女は半分は脅しや、甘えのつもりで、きつい言葉も許されると思っていても、ご主人は貴女の言葉を心の距離と取ってしまいます。

だから、夫に強い言葉を投げかけたり、いつまでも浮気した事に嫌味を言ったりしたら、貴女も夫を見捨てたと考えるようになるのです。
これを、夫は上手く利用しようとするのは、浮気相手ときちんと別れてない時です。
浮気相手とは別れたと口では言っても本当は別れてない時は、妻が「夫を許せない」と言う気持ちで接すると、ご主人は「別に許して貰わなくても結構」という気持ちになります。
いえ、逆に妻がいつまでも夫を許せないという事であれば、夫は自分を受け止め、許し、受け入れてくれる場所を探し始めます

夫が一旦別れた浮気相手と再び、再燃するのは、二人の絆が強いからではなく、妻に拒絶されたと感じるから、受け入れ先を再び求めるようになるからです。

要は夫と浮気相手がもし別れたとしても、その直後は非常に不安定な気持ちを抱えています。
そんな中、妻がきつい言葉で、夫を責めるような事をいつもいうと、夫は浮気相手の方とヨリを戻そうとするようになります。

もちろん、夫が一番悪い。夫のした浮気で妻が傷ついている事もよく分かる。
でも、夫だって、浮気相手と別れた直後は、ブロークンハートで、傷ついているのです。
その傷口に塩を塗るようでは、再び、浮気相手の元に逃げ出してしまいます。

よく、夫が浮気相手と別れても再び、ヨリを戻す話を聞くと、夫の浮気を分かった後、妻が夫を責める事しかしていないという話を聞きます。
確かにそんなにすぐに許せるものではない事はよく分かりますが、そこで大事な事は許すか、許せないかではないという事です。
むしろ、まだ夫が浮気相手と別れた直後は、許せないに決まっています。
それほど、妻の貴女は傷ついているからです。
でも、夫だって別れの直後は不安定なのです。
お互いに不安定な中、相手を追い詰めたら、逃げるに決まっているのです。

夫に嫌味を言ったり反省させたり妻に謝って貰ったりと、言うのは、まだもっと先です。
今はお互いに不安定な立ち位置をしっかり固めないといけません。
夫にマウントを取って、偉そうに言うのは、もう少し後にした方が良いでしょう
夫に傷つけられて、間がないから、気持ちも揺れるというなら、夫だって気持ちは揺れるという事を知って下さい。
夫が浮気相手と別れたと聞いた途端に、強い態度を取ってしまい、再び浮気相手とヨリを戻すのは、妻の油断と言わざるを得ません。
こんな風に言うと、「じゃ、妻の私が悪いというのですか?」と怒る人がいますが、夫を浮気相手に譲り渡すなら、思いのままの言動をすればいいのです。
でも、本当は添い遂げたいと思うなら、一時期の苦痛は耐えるしかないのです。

夫が浮気相手と別れて、家族の元に戻って来たと思った瞬間から、安泰ではないのです。
かすり傷だって、かさぶたが剥がれるまでは全治7日間掛かります。
人間の気持ちなんて、もっと時間が掛かるのです。
妻にとっては辛い現実は、不倫とは言え、恋なのです。
もし、その不倫を止めたとしたら、それの一つの失恋、ブロークンハートなのです。

そういう時に妻にすぐに優しく出来る余裕はないのです。
それを妻は夫が、浮気相手を忘れられないから、妻に冷たいと思ってしまうのですが
冷たいのではありません。
自分の傷を癒すので精一杯なのです。

だからもう少し待ってあげて下さい。
失恋は日にち薬。
きっと元気を取り戻すはずです。

それなのに、「傷って言っても、自分の蒔いた種でしょ」
と、妻が思うのであれば、それはちょっと観点が違います、

今、話しているのは、誰が悪いとか、何が悪いの責任論ではないのです。
今、ご主人も不倫の傷を癒し、立ち直ろうとしているのです。
その立ち直りの最中に、「あれが悪かった、誰がそうした」という責任論にしてしまうと
また、過去に話が戻ってしまいます。

今は、夫の立ち直りをそっと見守り、もう二度と不倫をしないバリアを作っている段階です。
もう二度と、妻以外の人に見向きをしてもらっては困るのです。
だから、ご主人の心の中にバリケードを形成している段階です。

人の心の中に、塀は作れないのです。
ぶっちゃけ話をすると、今後一生、妻以上の素敵な女性徒で会わないという保証はありません。
人間には、出会い頭の恋というのもあるのです。
だからこそ、今ご主人には体力をつけて貰い、今後同じような場面が起きた時に、
今回の妻の「暖かい対応」が、色んなブレーキになります。

今は夫を責めるのではなく、大きな心で、見守ってあげる方が良いと思います。
ただ、油断は公望。
微妙な時期なのです。
いつ、再燃するか、まだ安心はできません。
そんな時に冷たく、責めるような事ばかりの塩対応では、浮気相手の優しさを懐かしく思われてしまいます。
そういう意味で、夫が戻って来たと言っても、もう少し、相手の所に行かないか、観察する必要があります。
何でも、完治までは時間が掛かるという事です。
では今日はここまで。

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村越真里子
専門家

村越真里子

Re婚かうんせらぴー

最優先は夫婦の危機回避。浮気問題解決と夫婦の関係修復は分けて考えまずは離婚を回避し、その上で夫婦の修復を図ります。行動心理学を基に、今後同じ問題が起きないように予防も含め対策を練るのが使命です。

村越真里子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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