慰謝料は、誠意のバロメーターになるか?

村越真里子

村越真里子

テーマ:夫婦関係修復について

昨日、下記のような裁判がありました。

離婚に至った不倫相手への慰謝料裁判

訴えの内容は、簡単に言うと、終わった不倫関係の被害者?だった夫が、妻の浮気相手の男性、加害者?に
対して自分たち夫婦が離婚になった事に対する慰謝料請求は可能か?という課題です。

これは特に、珍しくない話のようですが、ちょっと違う点は、妻の不倫によって、夫婦が離婚に至ったか?と
いう因果関係に対する裁判です。

これまでによくある慰謝料請求は、妻の浮気相手には、不貞関係へのペナルティーとして、慰謝料は認められて来ました。
しかし、年月が経ち、終った不倫関係だとして、結果的に離婚に至った場合は、あえてその事に離婚に至ったという慰謝料はどうか?という事です。

実は、これまで、私も弁護士先生と相談しながら進める案件は、不倫発覚後、まもなく離婚になった場合は、慰謝料が少し増額するという考え方は在りましたが、年月が経ってから、離婚になったという事に対しての今回の判決です。

判決の結果は・・・・
敗訴でした。
残念ながら そのご主人の主張は認められませんでした。


でも、妻の不倫って、夫にはダメージが強く、妻が味わう夫の不倫とはちょっと違います。
家族を裏切るという点では、同じ事ですが、昔から、男の浮気性には、寛容なところがありましたので、
妻には若干の免疫はあります。
しかし、その反対で、妻が浮気をするというのには、男性は耐性がありません。
だから、同じ事でも、夫側の傷つき方というのは半端じゃないです。

そういう意味では、男性のショック+立ち直り時間  というのは、時間を要します。

妻の浮気で傷つき、何年か掛けて夫婦修復を試みて・・・やっぱり夫婦に出来た溝は埋まらなかった、とするには
何年か時間が掛かります。

そこには妻の浮気という原因が色濃く、影響しているのですが、時間が経過したという点が、離婚原因との
因果関係を問われたのだと思います。

悪い風に考えると、妻が浮気をする時点で、夫婦がすでに破綻していたかもしれません。
もしかしたら、妻も浮気後、修復の努力をしたかもしれません。
それでも、努力の甲斐なく・・・・となると、一旦、お互いに努力をしたという事は
ソロバンじゃないですが 「ご破算に願いましては・・・・」と、妻の浮気には目を瞑ったという事になります。

解り易くいうと、そういう風にお互い夫婦修復を頑張った、努力の甲斐なく・・・・と
言う結果に、浮気相手の男性が、やはり改めて責任が発生するか?という事です。

真実はわかりませんが、この訴えた男性は、浮気相手の男性から、200万円は
慰謝料は受け取ったという事で、離婚に至ったから、という理由で更に500万円の請求が通るか?というのが
今回の裁判の大筋です。

我々の生活には関係ないように思いますが
法律家の判断は、裁判の結果、つまり判例が基準になります。
不貞の相手に対して、裁判にまで至る例はあまり数は多くありません。
裁判までには至らなくても、不貞相手への慰謝料請求は不貞関係の解消に
よくある事ですが、それは、個人で妻が個人的に直談判したりする例はあります。

法律家を使ったりすることは、確実性を上げるために、良いことだと思いますが、まだまだ、それをするということへの
ハードルが高く、抵抗はあるようですね。
だから、「慰謝料の請求の仕方」・・・なるものはネットなどで調べ、気丈な人は、自分でやっちゃうようです。

一般的な手順としては、内容証明書で、相手に慰謝料請求して、個人的に談判して、たいていは玉砕します。
上手く行ったとしても、若干、ごねられたり、値下げ要求されたりして、適当な値段で落ち着くというのが、常です。

だけど、裁判所や弁護士にゆだねるという事は司法の判断を仰ぐという事になりますので、
素人が動くよりは、良い結果が出ると思いますが、それとて判例がないことには、
それぞれの担当する人間のさじ加減にゆだねられていたというのが、これまでの結果でした。

一般的には、司法は柔軟性に乏しく、頭が固いのです。
前例、判例がない事を嫌がります。
だからこそ、それぞれの窓口が、誰になるかで、命運を左右しました。

そういう意味で、一定の判断基準ができるという事は、今後はとても、いいことだと思います。
今回の判決で、ある一定の基準ができる感じがしますね。
よかった、よかった。

ところで、ちょっと、話は反れますが、同じ浮気事件でも、決着のつけ方が
夫と妻とでは、大きく違いがあります。

妻が夫に浮気をされた時は、「私に悪いところがあれば、改めるから」と、妻が謝ります。
それだけに、夫の浮気相手に慰謝料を請求する事は、あまり望みません。

反面、夫が妻に浮気をされた場合は、目で見えない約束よりも、浮気相手の男性に
お金という形で、けりをつけたい傾向があります。

つまり、恨みがお金で解消できるとは言わずとも、お金で誠意を見せろというのが
男性の考えです。
でも、女性である妻は、「お金じゃないのよ」と、浮気に至った背景に自分の怠慢もあると反省し、夫にへりくだります。

そうなると、夫側は、妻に文句を言わせない関係性が出来上がりますから、妻が疑う事も許さない訳です。
つまり妻が夫を詮索しないという約束をさせられるはめになります。
これは、万一浮気が終ってない場合は、恐ろしい事になります。

男性的な妻なら、浮気相手に慰謝料請求をして、夫の不倫相手に
具体的に、不倫の解消を、形付けます。

お金じゃない・・・という妻は、気持ちを求める傾向にありますが
お金は、誠意のバロメーターになるという考え方をすると、
夫側の考えの方が、本当は正解なのかな~と、思います。

では今日はここまで。

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村越真里子
専門家

村越真里子

Re婚かうんせらぴー

最優先は夫婦の危機回避。浮気問題解決と夫婦の関係修復は分けて考えまずは離婚を回避し、その上で夫婦の修復を図ります。行動心理学を基に、今後同じ問題が起きないように予防も含め対策を練るのが使命です。

村越真里子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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