「遺言書で事業承継」【録音】
日頃から、二代目社長の経営支援や社長さんの遺言書についてアドバイスを行っております。
社長さんに、長男と次男と三男の3人のお子さんがいて、長男が跡継ぎと決まっている場合には、経営を安定させるために、長男には全株式を中心に引継がせ、次男と三男には、株式以外の財産の大部分を引き継ぎさせると遺言書で指定した場合。概ね、長男への財産指定については、長男、次男、三男とも異論が無い場合が殆どです。一方で、次男と三男の財産指定は遺言書で指定をしたにも関わらず、実際、社長さんが亡くなられて、相続時に次男と三男の両者が揉めるケースが多く見られます。
社長さんとして、また、一人の親御さんの立場では、財産指定は平等に指定する方が兄弟喧嘩も起こらず、その後も仲良くやってくれると、思っていらっしゃる場合が多いのですが、実際のところ、次男と三男の置かれた環境や、兄弟間の経済力に差がある場合、平等の財産指定では、両者とも納得しないケースや、兄か弟のどちらかが納得しないケースと色々ですので、アドバイスの際には平等に固執しないようハッキリと助言をしています。
例えば、三男が、小さい頃から、いつも、おさがりばかりを着せられていた、持ち物だってお古ばかり、両兄の方が可愛がられていた、というような感情も被ってしまい、親父が死んだ後くらい、兄貴たちより、自由にさせてもらうお金が欲しいと財産の指定に納得しなかったり、加えて、三男が独身主義者で結婚せず、悠々自適に生活しており、次男には、まだ小さいお子さんがいて、お金のかかる場合は、独身の三男と同じではと次男が納得しなかったり、平等すぎる財産指定だった故に、揉めるケースもありました。
両者とも生活にゆとりがあり、親の遺産をあてにしなくても、生きていく力があれば、揉めることは少ないと思いますが、実際はそんな兄弟は稀で、大なり小なり格差は発生します。そこで、親御さんとして考えるべきは、平等と公平の違いです。もし、お金が必要なお子さんや、所得の少ないお子さんに、少しだけ多く手当をしてあげられるような財産の指定が行われたならば、そのお子さんは、父親は、自分のことも大事に考えてくれていたんだと感じます。また、他の兄弟も、そういう理由の不平等であれば、平等じゃなくとも、逆に納得ができ易く、公平感を持ちながら相続もスムーズに運びます。
子どもや孫たちの将来に思いを馳せ、色々と思い悩み、財産を指定する遺言書を作っても、子どもたち全員が100%納得してもらえるかは分かりません。しかし、親として、できることは全て、何でもやるの心意気が大事であることを、多くの社長さんが口々に発します。俺がこんなに考えて作ったのに、揉めるようだったら、俺もそこまでの人間ってことだな、天国からバンザイするよと....最後は、お子さんやお孫さんへの想いの大きさと、遺言書ができた達成感と満足感、そして、もうこれ以上ベストな選択は無いと云う割切った気持ちが、肝要であることを私自身も気付かされます。たった一枚の遺言書でも、想いを伝えられれば、幸いであると日々痛感もする次第です。
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