「尊厳死宣言のデメリット」【録音】
多くの中小企業は、社長さんが自ら創業し、会社の全ての株式を保有しているケースが殆どです。いわゆるオーナー社長です。会社は自分のもので、他人からとやかく言われたくない、と云う方が多くを占めています。しかしながら、完全に会社と社長さんが一体化できるわけではなく、社長さん自身が亡くなられれば、相続の時に、株式は相続人の手にわたることとなります。
跡継ぎは、長男にしようと決めていたにも関わらず、社長さんが遺言書を残さずに亡くなられた場合は、法定相続分に応じて株式は分割されることになります。例えば、奥様と長男・次男が相続人となった場合では、奥様が1/2長男が1/4次男が1/4と株式が分割されます。株式は、会社の所有権を意味し、株主には企業経営の重要事項を決める権利があります。
このケースでは、奥様・長男・次男という3人の株主が、株式を持つことになるため、いずれの株主も1人では過半数を超えず、長男は全員一致か母親の協力が得られなければ、過半数を確保できず、自分の考える経営が出来ません。社長さん自身が、ご存命のうちから「長男を後継者に」と考え、後継者教育を実施していたとしても、安定した経営に必要な株式を、うまく継ぐことができなければ、自らが描いたストーリーとは正反対な、波乱含みの企業経営を託したことになります。
後継者に株式をトラブルなく取得してもらうためには、社長さんが、生前贈与で株式を徐々に移行していったり、いざという時にも備え、民法と異なる相続分を、きちんと遺言書で指定しておくことが、何よりも肝要になってきます。
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