第一話「身体の不調は、時代の領収書だ。」

パンデミック以降、私たちの社会に静かな変化が起きた。
感染リスク、ワクチン論議、経済への影響——人々は同じ時代を生きながら、見えている景色が違いすぎて、対話の前に立ち止まるようになった。
争わないという選択が、むしろ互いの防衛のための緊張を生んでいる。
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ポリヴェーガル理論が示すように、人間の神経系には三つの状態がある。
安全を感じているとき——腹側迷走神経が活性化し、人は繋がろうとする。危険を感じているとき——交感神経が優位になり、戦うか逃げるかの状態になる。そして脅威が続くとき——背側迷走神経が優位になり、凍りつく。
「あえて争わない」という状態は、表面上は穏やかに見えながら、内側では深く緊張している。凍りついた対話だ。
得体の知れない他人が、理解できないという恐怖。正義や正解という名の元に下されるジャッジにより、お互いを知ることなく争いは続いてしまう。
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では安心はどこから生まれるのか。
まず、社会の最小単位である自身の肚と繋がること。肚の声を概念でかき消さず、自身の認知的不協和に気づくこと。まず自身の安心を取り戻すこと。
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安心したもの同士は、呼吸や心拍のリズムが自然と近づいていく。
優劣を付け合うのではなく、安心の中で個人間の対話が生まれていく。その対話が、少しずつ社会を動かしていく。
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革命ではなく、共鳴だ。
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次回は、その安心の中で「認知と行動を一致させる」ことについて考えていきます。


