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最低賃金の上昇を人件費だけで見ない 沖縄企業が整える営業と業務の仕組み

菅原崇文

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テーマ:営業の仕組み化・組織づくり

厚生労働省が公表している令和7年度の地域別最低賃金では、沖縄は1,023円、改定前952円から71円の引上げとなっています。発効日は令和7年12月1日です。全国加重平均は1,121円で、全国的にも賃上げへの対応が経営課題になっています。

この数字を見ると、まず人件費の増加を考える方が多いと思います。

もちろん、それは正しい見方です。給与、社会保険、採用条件、シフト、人員配置。どれも現場に直接影響します。

ただ、沖縄の中小企業にとって本当に大事なのは、最低賃金の上昇を「労務管理だけの話」で終わらせないことです。

賃上げに耐えられる会社にするには、営業、業務、採用、教育の仕組みを同時に見直す必要があります。


賃上げは経費増ではなく、経営の設計変更である


最低賃金が上がると、会社はどうしても「人件費が重くなる」と感じます。

しかし、人件費だけを見てしまうと、対策は限られます。勤務時間を削る。採用を止める。値上げを急ぐ。現場にもっと頑張ってもらう。

短期的には必要な判断もありますが、それだけでは長続きしません。

見るべきなのは、人件費そのものではなく、1時間あたりにどれだけ価値を生み出せているかです。

同じ人数でも、問い合わせ対応が整理されている会社と、毎回その場で考えている会社では、営業効率が大きく変わります。

同じ商品でも、価値の伝え方が整っている会社と、価格だけで比較されている会社では、粗利が変わります。

同じスタッフ数でも、役割が明確な会社と、社長や一部の担当者に判断が集中している会社では、疲弊の度合いが違います。

賃上げに対応する一番現実的な方法は、人件費を削ることではなく、同じ人数で価値が伝わり、粗利が残り、迷いなく動ける仕組みを作ることです。


沖縄企業が先に確認したい3つの数字


賃上げへの対応を考えるとき、いきなり大きな改革を始める必要はありません。

まずは、次の3つを確認するだけでも十分です。

  1. 1人あたりの粗利
  2. 問い合わせから受注までの歩留まり
  3. 現場が毎週くり返している手戻り時間


1人あたりの粗利が見えていないと、どの商品やサービスに力を入れるべきか判断できません。

問い合わせから受注までの歩留まりが見えていないと、営業活動のどこで機会を失っているのかが分かりません。

手戻り時間が見えていないと、人が足りないのか、仕組みが足りないのかを見誤ります。

「忙しいから人を増やしたい」と感じる場面でも、実際には問い合わせ対応、見積作成、社内確認、資料探し、説明の重複に時間を取られていることがあります。

この場合、採用だけで解決しようとすると、入社した人も同じ混乱の中に入ることになります。

営業を強くすることが、賃上げの原資を作る


賃上げの原資を作るには、売上を増やすだけでは不十分です。

必要なのは、粗利が残る売上を増やすことです。

そのために営業で見直したいのは、次のような部分です。

  • 料金表や見積条件を見直す
  • 高粗利の商品・サービスを前面に出す
  • 問い合わせ対応のテンプレートを作る
  • 営業資料を共通化する
  • よくある質問を先に出す
  • 失注理由を毎月分類する


特に沖縄では、紹介や地域のつながりから商談が始まることも多いです。

その強みは大切にするべきです。

ただ、紹介に頼りすぎると、価格や条件を曖昧にしたまま話が進み、あとで利益が残らない案件になることもあります。

だからこそ、営業の入口で「誰に、何を、どの条件で提供するのか」を整えておく必要があります。

これは強引な値上げではありません。

お客様にとっての価値、対応範囲、納期、追加費用の条件を分かりやすく伝えることです。

厚生労働省の賃金引上げに関するページでも、生産性向上や取引条件の改善が支援テーマとして示されています。賃上げは、社内だけで我慢する話ではなく、提供価値と取引のあり方を見直す話でもあります。

採用だけでなく、離職を防ぐ仕組みも必要


最低賃金が上がると、採用条件の見直しも避けられません。

しかし、給与だけを上げても人が定着するとは限りません。

現場でよく起きるのは、仕事内容が見えにくい、教え方が人によって違う、忙しい時間帯に質問できない、判断基準が曖昧という問題です。

こうした状態のまま採用を増やすと、教える側も教わる側も疲れます。

結果として、せっかく採用しても早期離職につながることがあります。

沖縄の中小企業がまず整えたいのは、立派なマニュアルではありません。

新人が最初の1か月で何を覚えればよいか。誰に確認すればよいか。どこまで自分で判断してよいか。お客様に説明するときの基本文言は何か。

このあたりを小さく整理するだけでも、現場の負担はかなり減ります。

AIや外部人材は、迷いを減らすために使う


賃上げへの対応でAIを使うなら、最初から大きなシステムを入れる必要はありません。

まずは、日々くり返している作業の整理に使う方が現実的です。

たとえば、問い合わせ内容を分類する。よくある質問を整理する。見積前の確認項目を作る。失注理由をまとめる。求人文のたたき台を作る。新人向けの説明文を作る。

こうした作業は、AIが得意な領域です。

外部人材を活用する場合も同じです。

いきなり丸投げするのではなく、自社の中にある営業の流れや課題を整理したうえで、部分的に任せる方がうまくいきます。

AIや外部人材に任せる前に決めたいこと

  • 何を増やしたいのか
  • 何を減らしたいのか
  • 誰が最終判断するのか
  • お客様に出す前に誰が確認するのか


ここが曖昧なままツールや人を増やしても、社長の確認作業が増えるだけです。

逆に、役割と判断基準が整理されていれば、少人数でも仕事は回しやすくなります。

まとめ


最低賃金の上昇は、沖縄の中小企業にとって避けて通れないテーマです。

ただし、それを単なる人件費増として見るだけでは、対策が苦しくなります。

大事なのは、賃上げに耐えられる営業と業務の仕組みを作ることです。

問い合わせ対応を整理する。粗利が残る商品を前面に出す。営業資料を共通化する。新人が迷わないようにする。AIや外部人材を、迷いを減らすために使う。

こうした小さな改善の積み重ねが、結果的に賃上げの原資を作ります。

人件費を抑えるために人を削るのではなく、人が働きやすく、利益も残りやすい会社に変えていく。

沖縄の企業にとって、これからの賃上げ対応は、営業力と組織づくりを見直すきっかけになるはずです。

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菅原崇文
専門家

菅原崇文(営業コンサルタント)

株式会社BLUE LEAF

営業戦略の設計から実行・改善・内製化まで一気通貫で伴走し、机上論ではなく現場で成果につながる営業の仕組みを作ります。課題整理から仮説検証、トークスクリプト設計までも丁寧に支援します。

菅原崇文プロは琉球放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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