沖縄のお墓や仏壇に関する年中行事。
沖縄のお墓の種類の1つ屋形墓は、王族が建てた破風型を真似たものがその始まりです。
屋根が低いものが多く、全体的な構造はお骨を納める基室と入り口付近のお参りする場所の装飾、外柵でできています。
沖縄の平地によく見られる屋形墓の始まりは破風墓だった
沖縄の丘陵地や住宅地などのあちこちに、古墳のような建物が連なっているのを見かけることがあります。これらは沖縄独特の形をしたお墓です。
沖縄では「風葬」と呼ばれる死者を供養する方法がありました。
これは一定期間お墓の中に死体を安置し、風化を待って遺体を取り出し海の水で洗ってきれいにした後骨を再びお墓に納めるというものです。
このためお墓を大きく建てる必要があり、昔立てられたお墓の多くは、家の近くの丘や崖のような場所に穴を掘り周囲を石やコンクリートで固めた大きな部屋を持つお墓がたくさん建てられました。
沖縄の大きなお墓は、琉球王国時代に王室が作った「破風墓」が最初のものだと考えられていますが、1879年、琉球藩が廃止され沖縄県が制定されて以降、一般の人がお墓を造れるようになり、この破風墓を真似て造られたものが「屋形墓」と呼ばれるようになりました。
屋形墓と破風墓の違いは、屋根の形やお墓の大きさ
破風墓の多くは、岩壁を掘り穴を作って家屋のようなものを造り、三角形の屋根を持っています。
沖縄県で最大の破風墓は、1501年に築かれた玉陵(タマウドゥン)です。
屋形墓は、この破風墓の屋根部分が三角形でないものが、そう呼ばれるようになったものです。
亀甲墓の屋根が、亀の甲羅の形をイメージして作られたのとは違い、屋形墓では、屋根にあまり高さがないものが多く、全体的に小さい墓が多くなります。
屋形墓の中には、屋根のてっぺんに本土で見られるような墓石をのせたものもあります。
内部の構造は、亀甲墓や破風墓とほぼ同じで、お骨を納める部屋(基室)があり、中央部分の入り口は小さめに造られ、入り口前にお参りをする場所が設けられています。
現在のお墓のスタンダードは破風墓
時代が進み、現在は風葬もほとんど行われていません。
そして核家族化が進み、共同墓地にお墓が建てられることも増えています。
コストがかからず、お参りのしやすいお墓のニーズが高まっており、小型の既製品の屋形墓が多く出回るようになりました。
現在人気のある破風墓は、お骨を納める基室に少し高さのある屋根をのせたものが多く、お参りをする袖石付近の上に、さらにもう一つ屋根(ひさし)をつけたタイプが人気です。
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古いお墓の大半は、海の砂を混ぜたコンクリートで造られたものが多く、経年劣化が激しく建て替えが必要なお墓が多くなっています。
現在新しく作られるお墓は、劣化が少なくお掃除の手間も省ける石製のお墓が主流になりつつあります。
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