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労働時間と割増賃金のお話(22)

竹下勇夫

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テーマ:労働時間と割増賃金のお話

~割増賃金(その1)~


 これまで時間外労働と休日労働についてお話をしてきました。
 今回からは割増賃金についてお話しすることになります。

 労働基準法37条は、時間外、休日及び深夜(午後10時から午前5時まで)の割増賃金について規定しています。すなわち

① 1か月の合計が60時間までの時間外労働および深夜労働については2割5分以上の率
② 1か月の合計が60時間を超えた時間外労働が行われた場合の60時間を超える時間外労働については5割以上の率
③ 休日労働については3割5分以上の率


による割増賃金を支払わなければならないことになっています。

 また時間外労働が深夜業と重なる場合は、重なる部分については割増率が5割以上、1か月60時間を超える時間外労働と深夜労働が重なる場合には7割5分以上、休日労働と深夜労働が重なる場合には、重なる部分の割増率は6割以上とされていますが、休日労働中に1日8時間を超える労働が行われた場合には、8時間を超える部分についても3割5分以上の割増率でよいとされています。

 これらの割増賃金に関する規定は、法定の時間外労働や法定の休日労働に関する定めであって、たとえば所定労働時間が7時間の場合に7時間を超えて8時間以内の労働について、あるいは日曜日が法定休日で土曜日も休日の週休2日制の場合の土曜日の休日労働については適用がありません。

 もっとも多くの企業の場合、このような法定外の時間外労働や休日労働についても就業規則で割増賃金に関する規定が置かれているかと思いますので、このような場合には就業規則の規定に従い割増賃金を支払う必要があります。

 さらに、管理監督者のように「労働時間、休憩及び休日に関する規定」の適用を除外されている者についても、「深夜業」の規制に関する規定の適用があるので、これらの者に対しても深夜割増賃金の支払いが必要であることにご留意ください。
                                        —続—

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竹下勇夫
専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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