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労働時間と割増賃金のお話(18)

竹下勇夫

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テーマ:労働時間と割増賃金のお話

~時間外労働・休日労働(その5)~


 ところで、36協定を締結すれば協定の範囲内で無制限に時間外労働をさせることができるのでしょうか。
 以前は告示において、36協定で定める時間外労働については1か月45時間、1年360時間とされていました。しかしこれはあくまで告示で定められてものであって、仮にこれを超える時間外労働の定めのある36協定について、必ずしも無効であるとはされていませんでした。

 ところが、2018年の労働基準法の改正により、時間外労働の上限規制が罰則をもって労基法36条に盛り込まれることになりました。改正労基法36条4項は、時間外労働の原則的な上限規制として、1か月について45時間、1年について360時間と定めています。

 さらに改正法は、特別協定による上限規制を定めています。すなわち、同法36条5項は、36協定において、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に原則的な限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、1か月の時間外労働及び休日労働の時間数を100時間未満、並びに1年の時間外時間の時間数を720時間を、それぞれ超えない範囲内で定めることができることとしています。
 この場合、1か月について45時間を超えることができる月数は1年について6カ月以内に限られており、この月数を36協定で定めなければならないとされています。

 以上の上限規制に反する36協定は無効と解されていますのでご注意ください。
 また特別協定の届出は36協定の様式とは別個の様式ですのでこの点もご注意ください。
                                       —続—

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専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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