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労働時間と割増賃金のお話(5)

竹下勇夫

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テーマ:労働時間と割増賃金のお話

~休憩時間(その1)~


 労働基準法34条は、1項において、「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」と規定し、2項において、「前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。」とし、3項において、「使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。」と定めています。

 ここでいう「休憩時間」とは、行政解釈によれば、「単に作業に従事しないいわゆる手待時間は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいう。」とされています。

 多くの企業では所定労働時間8時間の場合においても、1時間の休憩時間を与えているものと思いますが、労基法上は45分でよいことになります(ちなみに、8時間「以上」というときは8時間を含み、8時間を「超える」というときは8時間は含みません。)。もっとも、所定労働時間は8時間であるものの、実際には9時間労働させたというような場合には、8時間を超えて労働させたのですから、45分の休憩のほかにさらに15分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないことになります。なお、休憩時間の置かれる位置は問いません。

 また、行政解釈でいう「手待時間」とは、「使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており労働から離れることを保障されていない状態で待機している時間」を指し、その間は、実際には作業していなくても、就労しないことが使用者から保障されていないため、休憩時間ではない、とされています。               —続—

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専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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