令和3年の民法等の改正(18)
~遺産分割の見直し②~
現行民法第898条は、「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」と規定しています。そして、その意味について、最高裁昭和30年5月31日判決は、民法249条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではない、としています。したがって、民法相続編に特別の規定がない限り、遺産共有については民法物権編の「共有」に関する規定が適用されることになります。
そして、改正民法は同条に第2項として、「相続財産について共有に属する規定を適用するときは、第900条から第902条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。」との規定を新設しました。
これによって、遺産共有に民法物権編の共有の規定が適用される場合の各相続人の共有持分を、第903条、第904条の特別受益や、第904条の2の寄与分を考慮に入れた具体的相続分ではなく、法定相続分・指定相続分を基準とすることが明らかにされました。 —続—