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低額譲受④

竹下勇夫

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テーマ:低額譲受・ケース①(1)

■財産評価基本通達で定められている土地(宅地)の評価方法

 財産評価基本通達で定められている土地(宅地)の評価方法はふたつあります。それは、路線価方式と倍率方式です。
 まず宅地は市街化地域にある宅地と、それ以外の宅地とに区分し、前者は路線価を用いた路線価方式により、後者は固定資産税評価額を用いた倍率方式により評価します。なお、財産評価基本通達で定められた方法で評価した価額は、相続税評価額と呼ばれます。

 このように、相続または贈与で取得した土地(宅地)の時価は、原則的には、路線価方式または倍率方式で計算すればよいことになります。

■ その他の土地の時価

 上記に示した路線価と固定資産税評価額以外にも、土地の1㎡あたりの時価として行政機関から発表されるものには、国土交通省から発表される公示地価と、都道府県から発表される基準地価があります。いずれも、一般の土地取引に対して指標を与えることや、公共事業用地の取得価格の算定などを目的として発表されます。
 この他に、不動産鑑定士による不動産鑑定評価額や、実際に市場で取引されることで決まる売買実例価額があります。

(参考)
【不動産】5つの「不動産価格」と民事事件での役割

■ 相続や贈与で取得した土地は、財産評価基本通達で定められた方法で評価すればいい?

 ここまでで、時価とは、「客観的な交換価値のことであり、不特定多数の独立当事者間の自由な取引において通常成立すると認められる価額を意味する」と説明されることを確認しました。
 また、その時価は、相続税法では「財産評価基本通達の定めによって評価した価額による」ことを確認しました。
 さらに、財産評価基本通達では、宅地についてはその時価を、路線価方式と倍率方式という評価方法によって計算することを確認しました。

 では、相続または贈与で所得した土地(宅地)の時価は、この路線価方式と倍率方式のどちらかで評価すればいいかというと、実はそうではありません。これら以外の方法で評価することを定めた税務通達が2つあります。ひとつは、前出の財産評価基本通達の6項、もうひとつは「負担付贈与通達」と呼ばれるものです。
 そして、Xさんとその祖母Aさんの売買取引について、課税庁は「負担付贈与通達」を適用して、財産評価基本通達で定めた以外の方法でその評価額を計算しました。(続く)

※ 本件は国税不服審判所平成15年6月19日裁決をモデルにしていますが、一部の事実は異なります。
※ なお、本件は納税者側の主張が認められ、課税の決定処分等は取り消されています(確定)。

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専門家

竹下勇夫(弁護士)

弁護士法人ACLOGOS

検察官として10年、弁護士として30年超のキャリアを有し、高い専門性が求められる企業法務を得意とする。沖縄弁護士会会長等の公職を歴任する傍ら、琉球大学大学院法務研究科(現在は学部)講師の顔を持つ。

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