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津谷良(つたにりょう) / 歯科医

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コラム

入れ歯で食べられない苦しみとは

2020年4月7日

テーマ:やわらかい入れ歯

コラムカテゴリ:医療・病院

皆さん、こんにちは!いかがお過ごしですか?
津谷歯科医院 院長の津谷 良です。



「食べたいものが食べれないことって残酷です。このままでは耐えられません」
患者Dさんのこころの叫びです。
この方は54歳の男性の無歯顎の患者さんです。

「若い時から歯周病で次々と歯が抜けていき、3年前に歯を全て失いました。
歯を多く失ってから、部分入れ歯でなんとか過ごしていましたが、
総義歯となってからは全く食事が取れません。
最近歯科医院で総義歯を作り直しましたが、使い物になりません」
とHPを見ていただいて、入れ歯のご相談に来院されました。

早速入れ歯と口腔内を拝見しました。
入れ歯はそんなに悪くはないのですが、
とにかく口腔内の入れ歯を支えるという条件がよくありません。

まず顎の骨の吸収が多く、殆ど盛り上がりのない、
むしろ逆に陥没している歯グキなのです。
当然入れ歯でものを噛もうとすると、歯グキが斜めに吸収しているため、
入れ歯が滑って、横にスライドしてずれて痛くなるのです。

そのため入れ歯と歯グキの間にいつも食べかすが入り、
食事途中で入れ歯を外し、口を洗いに行く始末だそうです。
従って満足な食事が食べられません。

歯グキの状態はそのためかキズや潰瘍、内出血が認められ、
悲惨な状態でした。
正直私も頭を抱えてしまいましたが、患者さんからの強い希望もあり、
入れ歯作製となりました。

その入れ歯は保険外の「やわらかい入れ歯」です。
入れ歯の設計に苦労しましたが、粘膜面にはやわらかい医療用シリコーンを加工します。
噛むときのストレスを歯グキに与えにくくするためです。
このようなケースでは一般的な入れ歯用プラスチックでは痛くて使い物にはなりません。

噛んでも入れ歯ができるだけ安定するように注意を払います。
これだけ顎の骨が吸収していると、これから先もっと骨が吸収することも考えられますが、
もし痛みや入れ歯が不安定になると、シリコーン加工をしなおす必要も出てきます。
その時の費用も別にかかることを患者さんには話して了承を得ています。

「やわらかい入れ歯」が出来上がり3ヶ月後リコールに来ていただきました。
今では食事に困ることはなくなったと話していただきました。
「これからはいままでの分を取り戻したい」と話されていたDさんには、
くれぐれも入れ歯の手入れと3ヶ月毎のリコールを忘れないようにお願いしました。

「やわらかい入れ歯」は普通の入れ歯で食べられない患者さんにとって必要な入れ歯と考えています。しかしそれでも良い結果が出ない患者さんのケースも経験しました。
もしお困りの患者さんがいらゃしゃいましたら、一度当医院でご相談頂けたらと思います。

この記事を書いたプロ

津谷良

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津谷良(津谷歯科医院)

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