下顎前歯の「カチッと入れ歯」のケース
皆さん、こんにちは!いかがお過ごしですか?
津谷歯科医院 院長の津谷 良です。
自分の口の中の型をとって作った総入れ歯のはずなのに、
どうしてこう簡単に外れてしまうのでしょうか?
またなぜ浮き上がってしまうのだろうか?と不思議に感じている方はいらっしゃいませんか。
大きく口を開けると外れる入れ歯、強く噛むと後側が浮いてしまう入れ歯、
絶えずパカパカと動く入れ歯と様々な状態が見られます。
原因の一つは入れ歯の型取りの方法です。
口の中に印象材を盛ったトレーを入れてぐっと押さえ込むように固まるまで待ち、
その間じっとしていなければなりません。
しかし入れ歯を使う時は口は喋ったり、噛んだり、絶えず唾を飲み込んだり、
そのたびに口の中の筋肉や粘膜が動きます。
そのため、、口を開けた状態で型を取った入れ歯では
口の動きに対応できない入れ歯もあるわけです。
二つ目の原因は入れ歯をつくる時の技術力です。
入れ歯をつくる時に材料に熱を加えて重合をして作りますが、熱による変形が生じることがあります。
つまり型どうり入れ歯ができあがらないのです。
この現象を起こさないためには、歯科技工士に相当の技術力と熟練が求めらます。
最近では変形に応じて修正する新しい重合方法も開発され、
新しい技術を積極的に取り入れる姿勢も必要です。
三つ目の原因は患者さんの口の中のことです。
即ち顎の状態
(粘膜の柔らかさや入れ歯の安定性を左右する歯ぐきの形、顎の上下の位置関係等)
によって大きく入れ歯の適合の条件が変化します。
しかし入れ歯が合わないからと直ぐに入れ歯用安定剤を使っている方もいらっしゃると思います。
ところが安定剤で接着して使っているうちに、入れ歯はますます合わなくなってくる可能性が大きいことも覚えておいて下さい。
なぜなら、入れ歯と歯ぐきとの間に柔らかい安定剤をたっぷりと塗って使用すると、
ぐっと噛み合せたり、食べ物を噛んでいるうちに、
その圧力の加減によって入れ歯が傾いたり、ズレたまま固定されてしまうからです。