本の出版を記念して~僕が建築を志したワケ その3~
顧客管理の帳簿はあっても、トラブルが起きたときにいちいち確認していたのでは
手間がかかって仕方がなかったのでしょう。
時々届けたはずの新聞を誰かに盗まれてしまうというトラブルが起きたときにも、
おっちゃんは電話で苦情を聞くとすぐ、
「○さんに□と×を届けて」
というように、指示を発していました。
もちろん顧客情報は常に同じではありません。
新聞を取らなくなる人や引っ越す人がいる一方、
新たな顧客を獲得できることもあります。
また、読む新聞の種類を変える人もいます。
おっちゃんはそれらの情報を常に更新して正確に覚えていたのです。
中学生の私はそんな大人を間近に見て「スゴイ!」と感心するばかりでした。
高校に入ると、私は同じく友人の紹介で露天商のアルバイトをするようになりました。
夏祭やビーチ、初詣などで屋台を出し、いか焼きやアイスクリームを売るのです。
その親方も仕事に厳しい人でした。
夫婦で露天を仕切っていたのですが、
かき入れ時の直前には奥さんが頭を丸刈りにしていたのを覚えています。
「気合いを入れるため」と聞きましたが、
丸刈りの女性を見たのは、あとにも先にもあれっきりです。
~~~つづく~~~