公正証書遺言作成のおすすめ
遺産とは何でしょう。
遺産とは被相続人(お亡くなりになった方)の死亡時にあったプラスとマイナスの財産全てを含みます。
現金、預貯金、不動産、自動車、絵画等全てこれに含まれます。
遺産分割調停という言葉を聞いたことがりますでしょうか。
これは、遺産をめぐって相続人間で紛争となった場合、家庭裁判所で話し合う手続です。
ここでよく問題となるのが、「遺産の範囲」です。
被相続人が母親で、贈族人が妻、長男、長女で、父親はその前に他界していたとしましょう。
その場合、大抵は、長男か長女のどちらかが母親と同居していたりすることが多いです。
令和2年2月10日に母親が死亡。生前は長男夫婦と同居。
長女が母親の預貯金を調査したところ、令和元年当初には、3000万円あった預金が令和2年2月10日には2000万円と激減していた。
この場合、長女としては3000万円が遺産だから半分の1500万円払って欲しいと長男に請求するでしょう。
長男は相続時の遺産は2000万円だからその半分の1000万円しか長女には請求権はないと反論するでしょう。
裁判所の見解は長男の見解と同じです。相続開始時に存在していたもののみが「遺産」として処理されます。
消えた1000万円はどうなるのかというと
① 生前母親が長男に贈与した
→ 特別受益の問題となり、この1000万
円も加えた3000万円が相続財産であ
り、1500万円ずつ長男と長女が相続す
るが、既に長男は1000万円贈与を受け
ているので500万円しか請求できな
い。
② 長男が母親に無断で1000万円を引き出し
た。
→ 不法行為、不当利得の問題であり長
女は相続分2分の1、すなわち500万
円長男に損害賠償請求、不当利得返
還請求ができる。
③ 母親が費消 あるいは①も②も立証でき
ない。この消えた1000万円はカウントされ
ないので、長男主張のとおり、各1000万
円ずつ相続。
このあたりが非常に難しいところです。
母親が寝たきりで意識がなければ②の立
証は比較的容易ですが、元気な時はなかな
か立証が困難です。