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杉田昌穂

理科実験・読み聞かせで思考力を育てる幼児教育のスペシャリスト

杉田昌穂(すぎたまさほ)

青穂塾(せいすいじゅく)

コラム

意外に知られていない九九暗記の落とし穴(4)

2019年4月18日 公開 / 2019年7月19日更新

テーマ:九九暗記

前回記述しました様々な記憶システムは脳内のどのような場所で働いているのでしょうか?

まず脳に入ってきた陳述記憶(事実や考え、出来事に関する記憶。これは言葉による表現や視覚イメージとして記憶します。九九暗記は主にこの記憶です。)は脳で処理するために、下準備をします。これを符号化といいます。この符号化についてはよく分かっていないようで、脳のどの場所でこの作業をするのか「記憶のしくみ 上・下」(ラリー・R・スクワイア、エリック・R・カンデル共著 講談社ブルーバックス 2013年)には書かれていません。インターネット上で探してもほとんど見つかりません。ただ「脳科学辞典」(https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%AC%A6%E5%8F%B7%E5%8C%96)には「側頭葉内側面、前頭前野、頭頂葉などの領域が関与していることが知られている。」とあります。

次に符号化された記憶は、短期記憶されます。これは内側側頭葉で行われることがはっきりしています。ここには、海馬、扁桃核、嗅内皮質など、記憶にとって重要な多くの器官が存在します。

さらに注意すべきなのは、これらの器官の中でニューロンと呼ばれる神経細胞が電気信号を使って通信をしていることです。しかもニューロンとニューロンの隙間にはシナプスと呼ばれる隙間があり、ここで電気信号は化学シナプス伝達物質に変換されて次のニューロンに到達し、そこで再び電気信号に変換されて次へと伝わっていきます。このシナプスでは、いろいろなアミノ酸、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどが活躍しています。

これらの短期記憶の作業は主に細胞内での変化と考えていいものです。

それに対して、短期記憶を長期記憶に変化させるときには、別の場所に新しくニューロンを作るということをします。つまり細胞外に新しくたんぱく質を合成し、新しい細胞を作るということをするのです。しかも長期記憶は大脳皮質の広範囲にある様々な場所に新しい細胞を作り保存されます。

そのほか習慣学習の記憶は線条体と呼ばれる器官が活躍します。

さらにニューロンとは別に、ニューロンのカバーの役割をしているグリア細胞というのも記憶と関係しているという研究があります。「もうひとつの脳」(R・ダグラス・フィールズ著 講談社ブルーバックス 2018年)


いろいろとややこしいことを書きました。私も正確に理解しているわけではありません。ただはっきりしていることは、記憶というシステムは単純なシステムではなく、非常に複雑なシステムであるということです。したがって「九九暗記」というものを考えるにあたって、そのことを理解しておくことは大切であると思います。

私の研究をもとにして自主開発しました「九九学習システム」を発売いたしました。
詳しくは
https://sadaemon.jp/
ご覧ください。

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