エストロゲンと更年期障害と自律神経
私が住む長崎では、来月3月6日までが「まん延防止等重点措置」期間ですが、来週2月21日からは夜8時までのお酒の提供が可能との発表が昨日行われました。この発表で喜んだ人、足りないと文句言う人、なぜ8時まで?など様々な意見があるとは思いますが、歯周病治療で学んだ「免疫学」をもとに、ちょっとだけ私見を述べさせていただきます。話の流れとしては
①歯医者が考える「お酒」の問題点と対応法
②「お酒」が引き起こすカラダの反応、その問題点と対応法
です。私は「お酒」も「お酒の場」も好きという意味も含めて、一方的に「ダメだ」というつもりはありません。でも、感染が広がっている地域では最大限注意すべきだと考えています。「なぜ、注意すべき?」であったり「どういったことに注意した方がいいの?」といった内容をお伝えできたらと思います。
①歯医者が考える「お酒」の問題点と対応法
そもそも論ですが、皆さんは「お酒」って何?だと思いますか?昔から、“酒は百薬の長”とよく言われます。酒が薬だったらなおさら飲んでもいいよね?という話なのですが、では「薬」って何なのでしょう?例えば、同じ飲み物という意味で「オレンジジュース(ビタミンC)」と「お酒(アルコール)」を比べてみるとわかりやすいと思います。
「オレンジジュース」を飲んだら、「吸収」されて、体内でビタミンCとして様々な役割を果たすことになります(美肌のもとのコラーゲン作り、免疫補助(風邪の時のビタミンC)などビタミンCの体内での働きは様々です。
一方、お酒は?というと胃や腸で吸収されたアルコールは肝臓で「(酵素)分解」され「アセトアルデヒド」という毒になってしまいます。当然、「毒」をそのままにはしておけないのでさらに「酵素」を働かせて「無毒」な「酢酸」にしないといけません。
つまり、お酒の問題点の一つは解毒のために「酵素」を余計に働かせないといけないという点です。
そこで、「酵素」についての理解を少し深めていただきたいと思います。カラダの中で働く酵素は大きく分けて「消化酵素」と「代謝酵素」しかありません。消化酵素は文字通り、食べ物や飲み物を消化分解するために使われる酵素です。一方、代謝酵素はカラダのメインテナンスや新陳代謝など体をうまく機能させるために働く酵素です。そのため、食べ始めて働きだすのが消化酵素で、寝ている間に働いて欲しいのが代謝酵素と作用時間で言い換えることもできます。例えば、夜寝る前の2時間は飲食しない方がいいといわれる理由は、寝ている間にも消化酵素を働かせることになった場合、本来寝ている間に使いたい代謝酵素が不足して十分に働かないことになってしまうからです。以前、テレビで見た有名歌手の方は18時以降には食べないという徹底ぶりでした。さすがのプロ魂です。
歯医者が考えるお酒と歯周病についても、お酒を飲んだ後に寝ているときの新陳代謝への影響がポイントです。お酒と歯周病の関係については、歯医者の中でも考え方は様々です。ただ、歯周病の絶対的な原因は細菌ですので、アルコールが直接的に歯周病の原因や悪化につながるという論文はありません。ただし、これは原因論からの話であって歯肉にフォーカスをあてると他の見方もできます。というのも、歯肉はコラーゲンでできています。そのため、細菌の侵入を防ぐという意味ではしっかりとしたコラーゲンリッチで丈夫な歯肉を作った方がいいことは想像できると思います。また、歯周病で歯肉に炎症を起こしているケースでは、免疫細胞にしっかり働いてもらいながら破壊された歯肉の修復=コラーゲン作りを行うべきですが、お酒を飲んだ際には命に係わる解毒を優先するため、新陳代謝用の酵素が不足してコラーゲン造りがおろそかになってしまい歯周病の進行に影響するという見方です。(さらに、以前のコラムでも記載したように、免疫細胞にしっかりと働いてもらうには「副交感神経優位」な状態が必要です。交感神経優位の時間が長いことは免疫力の点ではデメリットでしかありません。)
そんなに影響するの?と思われるかもしれませんが、美容(美肌)のために夜にコラーゲン鍋を食べて朝にはプルプル、もちもちの肌に“若いころは”なっていたはずです。逆に朝食べて、夕方には効いているという人はほとんどいないと思います。プラセンタなどのホルモンに影響するサプリメントを寝る前に飲むのもそのためです。ヒトは誰しも、寝ている間に“意図せず“「新陳代謝」を行っているのです。
かなり脱線してしまいましたが、話を「お酒」に戻すと、お酒を飲んだら解毒のための「酵素」を作って解毒しないといけません。夜遅くまでお酒を飲んで、寝ている間に解毒しているなら、カラダのメインテナンスや新陳代謝は不十分となってしまいます。遅くまで飲んだ次の日の朝に疲れが取れないや肌荒れ等の体調不良が起こるのは“年のせい”ではなかったのです。
つまり、①の問題点は解毒のための酵素を寝ている間に急拵えさせて、本来のメインテナンス、新陳代謝に使うはずだった酵素が不足してしまう所です。
そこで、①対応法です。
アルコールを摂取することで、カラダの中に毒を作ってしまい、それをさらに解毒代謝しないといけないのは絶対なのですから、起きてる間に解毒までしてしまえばいいのでは?!ということです。以下の3点がポイントです。
・起きてる間に解毒酵素に働いてもらう
→20時が適切かは微妙ですが、飲酒の際はできるだけ早い時間帯に飲む。食前酒もしくは食事始めのころにアルコール摂取してその後はソフトドリンクという選択肢も
・カラダの中の酵素全体(消化酵素+代謝酵素)のうち、解毒のために使われる酵素量を減らしたい
→毒になるアルコールの量を制限する。アルコール量を控えめにする。
・アルコールを摂取したら必ず、本来必要な代謝酵素から解毒用の酵素が使われるので、消化酵素もできるだけ少なくして代謝酵素減への影響を少なくしたい。
→食事の量を加減して、食べ過ぎないようにする。消化のいいものを選ぶ
続いて②「お酒」が引き起こすカラダへの反応の問題点と対応法です。
私はもともとお酒に強い方ではなく、飲んだらすぐに顔が赤くなります。赤くなるのもそうですが、アルコールを摂取して生理反応として起こるのは「血管拡張」、「心拍数増加」、「血圧上昇」などの反応です。で、これらの反応が何を意味しているかというと、交感神経が優位な状態を表しています。一方、深い睡眠の状態では副交感神経が優位な時です。深い睡眠の時に代謝酵素に働いてもらわないといけないので、お酒飲んで交感神経優位の状態で眠りについても質のいい睡眠がとれるわけがありません。つまり、飲んですぐ寝ると睡眠の質を落とすということです。
さらに、もう一つデメリットあります。すべての方ではありませんが、お酒を飲むと「血管拡張」して気道粘膜がむくんで狭くなり、鼾(いびき)をかいてしまう・・・。そのような方もいらっしゃるかと思います。私もそうですが、鼾をかくと睡眠の質は下がります。正確には、鼾をかくことがダメなのではなく、鼾をかくときの呼吸法に問題があります。というのも、「いびき」=「口呼吸」だからです。過去のコラムを読んでいただいた方は解ると思いますが、残念ながら「口呼吸」=「交感神経優位」なのです。寝ているときは副交感神経優位な、リラックスタイムを増やすべきなのですがその時間が少なくなること、しかも、11時から1時までの睡眠ゴールデンタイムに副交感神経を優位に導いて下垂体からのホルモン分泌をできるだけ促したいのに、12時まで飲んで交感神経優位の状態で眠りについて睡眠の質が落ちないわけがありません。次の日の体調に影響するのも当たり前です(自戒の念を強く込めて)
そこで、②対応法です。
アルコール摂取して、生理反応が落ち着く(アルコールが分解される)まで寝ないで起きておくようにすればいいのです。対応としては①と同じで、飲酒の際はできるだけ早い時間帯に飲んで酔いがさめてから寝ることです。飲酒後、副交感神経優位なリラックス状態へ導くのもアリだと思います。
現在の状況で私ども夫婦が2人で食事に行くことはありませんが、これまでの考えを反映してプランを立てるなら
・18時~20時外食:アルコールは生ビール1杯、ハイボール1杯までであとはソフトドリンク。(ハイボールやワインなどお酒の種類によってはチェーサーと交互に飲むのも効果的です)食事内容は和食、小料理屋さん的なところで消化にいいものをチョイス
・家に帰ってアマゾンプライムでの映画鑑賞(リラックスタイム)
・11時就寝
を考えます。お店ではありませんが、お昼のBBQなどもいいと思います。なぜ、夜じゃないのかというと肉は消化酵素(主に胃酸)を大量に必要とするからです。年配の方が胃もたれ(胃酸不足)を理由に肉を控えるのもそのためです。逆に、元気なおばあちゃんが朝からステーキを食べるというのも見たことありますが理にかなった習慣です。
何となく分かっていただけたでしょうか?
人間、我慢も必要ですが「解放される時」も必要です。少しの開放(=飲酒)かもしれませんが、ルールを守って自己管理、体調管理するためにもこの情報をお役立ていただけると幸いです。
ちなみにですが、我慢を続けることはストレスをためることであり、交感神経優位につながります。お酒を飲んで交感神経優位になって、お酒を飲めなくても交感神経優位になって・・・・現代では「お酒」は「薬」ではなさそうです(笑)