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塩原真貴プロは信濃毎日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

MJ(メガジュール)とは何ぞや?20兆とは何ぞや?

塩原真貴

塩原真貴

テーマ:ゼロエネルギーハウス

予測不可能?な廃炉・除染費用


国民の負担
電気代は一体この先どうなってしまうのか?
ウン兆円というお金がかかっている福島原発の廃炉費用。
あれから6年近くが経ちますが、廃炉への道のりはまだまだこの先もずっとずっと続きます。
東京電力単独では到底賄いきれないのは分かりますが、なかなか難しいからと国が資金の援助支援し、ふくらみ続けるそのお金に、返済ができる見込みはあるのでしょうか?

家計に負担
多くの方はもう、うすうす感づいています。
電気代が震災前に比べて相当高くなっている。
そして今後もさらに高くなってゆくであろう、ということを。

太陽光発電が世の中に広がれば広がるほど、時間が経てばたつほど、
まるでゴールのないマラソンを走っているかのようです。

先日も、福島県のガソリンスタンドの洗車コーナーにある廃水タンクが、もう大変なことになっている、という報道がありました。
除染に水は必要不可欠なものですが、その水さえも処理がままならない。
震災当時、冷却に使われたタンクが福島原発敷地内にどんどん拡大してゆき、「うわぁ、たいへんだぁ~」とTVを眺めていたその光景が、どんどん私たちの足元に及んできているようだと感じました。

嘆くばかりでは始まらない。前向きに行動を。

エネルギーをできるだけ使わない、つまり省エネこそが前向きな行動の一つだと思っています。
節電しかり、断熱改修しかり、ゼロエネ住宅建設しかり。
欲を求めず義を求める行動であってほしい。

かなり知名度も増してきたのか、新築住宅予定者の方々の多くがおっしゃいます。

「ゼッチにしてほしい」
「うちもゼロエネにできるんですか?」

すでにハウスメーカーの住宅展示場に行かれた方は、

「ゼッチが最も優れているのだ」
「今時はゼロエネっしょ?」
「ゼロエネの家はあたたかい」

などという洗脳を受け、
「どのメーカーの太陽光パネルがおすすめか?」
などというところから会話が始まることもしばしばです。

しかし最近は様子がかわってきたように感じています。

「ゼロエネってやらなきゃだめですか?」
「太陽光パネル乗せたくないんですけど」

そんな風に切り出してくる方もいらっしゃいます。

「友人の家が、思ったほど発電されず、買い取り金額もずいぶん安くなったのでペイできるか恐れている」
「雪が落ちるのは想定外だった」
「片流れの屋根は好きじゃない」
「ゼロエネ、って本当にエネルギーがゼロって意味じゃないですよね?」
など、少し距離を置いて客観的にゼッチを観ている方もいるのです。

パース


ZEH(ゼッチ)検討の現場から


ゼロエネMJ
この表は、国交省で行っている地域型住宅グリーン化事業のゼロエネルギーハウスの申請に用いられる書類の一部です。
検討物件の通知表のようなもので、検討結果がこの1枚に集約されています。

地域や面積を入力すると、勝手に基準一次エネルギー消費量が算出されます。
この地域で、この規模の住宅だったら、これくらいのエネルギーを使うだろう、というデフォルト値。(青色の囲み)

それに対して、断熱性能や暖房方式、給湯方式など様々な仕様を入力し終えた○○邸の、設計上の一次消費エネルギー消費量が算出される(赤色の囲み)
この家の場合、建築地は長野市、延床面積は121.36㎡(36.7坪)。
基準値が 108,970 に対して、 64,679 。
「お~、けっこういいじゃ~ん」
となるわけです。
項目別にみると、圧倒的に節約しているのは「暖房」。
基準値の半分程度にまで削減できていることが分かります。

冷房はむしろちょっと多め。
換気も約半減。でも、全体からすると、そもそもあまり消費量は大きくはない。
照明もLED照明の全面採用で激減。
給湯は、まあまあ、といったところか。

こう見ると、暖房と給湯で全体の80%以上を占めていることが分かるわけです。

でもって、基準よりも削減できたエネルギー量と、太陽光パネルによって生み出した発電量(黄色い囲み)を足して、
それが、基準一次エネルギー消費量を上回ればゼロエネになるよ、ってルートになります。

このお宅の場合は、約6KWの太陽光パネルでこうなりました。
ちなみに外皮平均熱貫流率Ua値=0.46、Q値=1.68 です。
この地域の基準Ua値は=0.75ですから、断熱性能をそれなりに高めています。

まぁ、基準値の0.75でいいじゃん、ということにしてしまうと、太陽光パネルは9kw程度にまで増やさないとゼロエネにならなくなります。結果、南向きに片流れの屋根で、エアコンやらエコキュートやら、LED照明やら、
よくあるメカメカしい家に成り果てます。

ところでこの表の”MJ”という単位。
呼び方は「メガジュール」といいますが、普段の生活ではまったくピンとこない単位ですね。
メガは1、000、000倍(百万倍)、という意味ですから、この家の場合、年間の設計一次エネルギー消費量は、
64,679×1,000,000=64,679,000,000ジュール、ということになります。

あっけにとられる単位ですが、ウィキルと、
「1 KJ の熱量で、0 ℃、5 g の水の温度を 50 ℃ 上げることができる」、とあります。
それでもやっぱりピンときません。

先月、東京電力福島第一原発事故の賠償や廃炉などにかかる費用が総額20兆円超えるという報道がありました。
20兆は \20,000,000,000,000
1億人で割ると、一人当たり2万円の負担となります。えらいことです!泣

ジュールも兆も、なんだか今回のコラムは気の遠くなるような数字が並びましたが、
これから家づくりを考える人は、ぜひこの3冊の本を読んだうえで、ZEHを検討していただきたいと思います。

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塩原真貴
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塩原真貴

株式会社Reborn

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