食糧危機への不安。また、『貯蓄から投資へ』は金融市場には追い風となる?
急激な円高、なぜ?
円高のきっかけのひとつとなったのは、アメリカでの労働需給緩和、インフレ率低下を示す経済指標が発表され、長く続いた金利高、金融引き締めの影響がやっと現実のものとなり、アメリカFRB(日本で言う日銀)が9月にも利下げに踏み切るとの観測が強まったこと。
トランプ前大統領は、大統領選前に利下げをすることは現政権を支援することになるためすべきではないとFRBをけん制しています。しかしFRBはすでに情報発信を通じて、9月FOMC(日本で言う金融政策決定会合)での利下げの可能性を、金融市場に相当織り込ませています。政治情勢の変化や政治的圧力によってこのスケジュールを見直す可能性は低いと思われており、予想外の経済指標が発表されない限りは、9月利下げの可能性が高いとされます。
この急激な円高を受けて、日本株は大きく下落しました。
先週の日経平均株価は2000円を超える大幅下落、7月11日につけた高値=42,224円から10%下回りました。
日本株の上下動は、改めて為替と強い連動性があると実感しました。再び買いが入り日本株の調整は目先一巡するとみられますが、9月のアメリカFRBの利下げなどを受け、ドル円レートが1ドル145円程度まで円高が進むようなら、好調を維持してきた輸出企業を中心に、日経平均は35.000円程度まで下落する可能性もあります。
ハリス候補台頭によってさらなる株式市場への不安も
大統領選への不出馬を表明したバイデン大統領に代わり、ハリス副大統領が異例のスピードで民主党内の支持を固めました。世論調査の中ではトランプ氏を上回る結果も出ており、暗殺未遂事件後に「神に選ばれた存在」とまで言われたトランプ候補でしたが、あっけなく振り出しに戻った感が否めません。
ハリス候補の強みは59歳という若さ、女性であること、マイノリティであること。
トランプ候補は女性蔑視や非白人蔑視の発言がある傾向、バイデン政権が失った若年層や黒人の支持を取り戻す可能性も。
ハリス候補は税制などを通じて、中低所得者層の支援を強化すると思われます。減税色の強い政策は短期的には経済にはプラスとなる一方で、財政の悪化懸念から金融市場が不安定化する面もあり、今後の株式市場の影響は要注目です。