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親が認知症に…後悔先に立たず…今すぐ知っておきたい【家族信託】

2022年4月6日 公開 / 2022年4月7日更新

テーマ:お金と暮らし

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 成年後見 手続き相続 手続き司法書士 相談



家族信託とは? 成年後見制度とは異なる?

家族信託とは、高齢者の資産凍結対策、

“親が元気なうちから子に財産管理を任せられる仕組み”

家族信託が一般に聞かれるようになったのは信託法が改正された2006年。
2017年にNHK等で取り上げられたことをきっかけに、広く知られるようになりました。

親の認知症対策としては政府や地方自治体が推奨する“成年後見制度”がありますが、2020年において制度を利用している人は約23万人、後見が必要と思われる(判断能力が不十分とみられる)人のうちわずか2%程度。

成年後見制度を知っているが「利用しない人が多い=普及しない」理由としては

・後見人になるまでに大きな手間と時間がかかる
・本人の権利が大きく制限される…日用品の購入などを除くほぼ全ての財産管理、処分について後見人の代理が必要
・家裁への定期的報告などの労力、運用に費用がかかる
・後見人への信頼度…本人の財産を不当に使われる可能性
・強引に施設入所させるなど本人の意思が優先されないケースもある

などがあります。

このような何かと制約の多い後見人制度よりも、健常な時の本人の想いを家族が引き継ぎ、実現していける家族信託(民事信託)の利用者が増えているのも頷けます。

厚生労働省によれば、2012年に450万人だった全国の認知症患者数は、2025年には700万人を突破し、高齢者の5人に1人が認知症となり、さらに、人口の約38%が高齢者になるとされる2050年には、認知症患者は全人口の約10%にもなると推計されています。

このような状況下において、家族信託は主に高齢者の認知症による財産凍結対策として有効であり、制度の利用者も今後さらに増加すると思われます。

家族信託が有効なケース

親や祖父母が医師から“認知症”と診断されると、『意思能力がない人』とされ、様々なことができなくなります

・預金口座の解約、引き出し、不動産売買、賃貸契約
・遺言書の作成
・生前贈与
・養子縁組
・遺産分割協議
・介護施設入居契約
・生命保険加入

など、最も重要と考えられる『相続への対策』が取れなくなります
つまり、このような事態を未然に防ぐために役立つのが家族信託。
ただし、家族信託も“契約”なので、親の認知症が進んでいると…もう手遅れということになります。

・親が会社の経営者である、土地や建物などの不動産を所有している
・親が遺言書を書くつもりがない
・親が高齢になり、いつ何時認知症になるか不安な人
・自分が認知症になってしまった後、実子に障害や浪費癖があるなど、適正に相続財産を管理処分できるか心配な人
・あらかじめ相続(争族)、事業承継の対策を取っておきたい人
・配偶者が認知症になってしまっていて、財産を子どもや孫に遺したい(数次相続を想定したい)人
・いずれ住まいが空き家になることが想定される…売却して代金を有効活用するなどの対策をしたい人

などに当てはまる方は、一度家族信託を検討されてはいかがでしょうか。

家族信託の機能

  1. 【委任契約の代用】 元気なうちに財産の管理、処分を託せる
  2. 【後見制度の代用】 本人の判断能力低下後における財産の管理、処分を託せる
  3. 【遺言の代用】 本人死亡後の資産承継先を自由に指定できる、遺言では指定できない二次相続以降の財産承継先指定ができる

重ね重ね、“生前に” 対策が取れる点が一番のメリットです。

家族信託の<受託者> 誰がなれる?

託された財産の管理や処分を行う<受託者>、主としては子どもですが、未成年者を除き誰でもなれます。法人がなることも可能。
信頼できる相手に託すのが大前提ですが、受託者が長期的にきちんと管理しているかを客観的に見守る<信託監督人>を置くこともできます。

家族信託の導入にあたり注意すべき点

・信託不動産の『損益通算禁止』…複数の不動産を持つ人は、税務的に注意すべき点があることに注意
・何段階もの資産承継(数次相続)を指定できるため、場合によっては何十年先もの資産承継にまでしばりを作ってしまう
・導入時にコストがかかる(専門家への報酬、公証役場の手数料、不動産登記費用等)
・家族信託の実務、法務、税務に詳しい専門家が少ない


まとめ

家計相談を受ける中で、高齢になる親を抱え
「不安に思うがどこに相談していいか分からない」
「親の財産を一応管理してはいるものの、今のやり方が正当なのか分からない」
など、切実なケースが増えていると感じます。
家族信託を知って、ぜひ利用したい、そんなときは弁護士や司法書士に相談してみましょう。
前述の通り、家族信託の諸知識を備えた専門家は少ないようですが、信託契約前から後まで相談でき、法律の専門家として常に知識がアップデートされ、遺言や成年後見、任意後見などの関連知識も豊富、不動産の登記なども全て任せられる……ので安心。

事実、親が認知症になってしまうと、面倒を見る子どもとしては、精神的だけでなく経済的にも大きな不安やストレスを抱えることになります。
もっと早く対策しておけばよかった…と後悔する前に。
まずは制度を知り、プロに相談を!

この記事を書いたプロ

たけうちかおる

子育て世代のお金の悩みに応えるプロ

たけうちかおる(ファイナンシャルプランナー・たけうちかおる)

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