食糧危機への不安。また、『貯蓄から投資へ』は金融市場には追い風となる?
NISA拡充の背景
投資信託の平均保有期間が伸びているそうです。
2020年末時点では平均2.5年と言われましたが、2021年7月末には過去10年で最高水準である3.8年。
長期化傾向にあるのは良いことです。
積立投資の最大の恩恵である”複利の効果”は、7~8年目くらいから単利との差が開いていきます。
時間分散にもなる”ドルコスト平均法”も、長期で継続するからこそ得られる効果。
この2つを知らずに、4年も満たずに手放してしまう方がまだまだ多いのは大きな問題です。
政府は、年末までにNISA拡充策を決定し、2023年度税制改正大綱に反映させる予定です。
その背景のひとつにあるのが、日本型イノベーション創出に向けたスタートアップ支援。
この国策の意図は何なのでしょう…
日本型イノベーション創出に向けた取り組み
スタートアップの育成ついては、先週末に成立した第2次補正予算に過去最大規模となる1兆円が計上されました。
育成5か年計画として打ち立てられ、2027年度に
- スタートアップへの投資額、10倍超の10兆円
- ユニコーン企業100社
- スタートアップ10万社創出
- シリコンバレーなど海外への派遣人数1,000人
などといった数値目標が多く掲げられています。
最終目標は、イノベーションの創出を通じた日本経済の生産性向上と成長力強化ですが、そのために新しい技術や産業を生み出す、スタートアップを強力に支援する姿勢です。
個人マネーを株式市場に
この育成計画の一つとして、個人のリスクマネーを企業成長に利用するための柱が資産所得倍増プランです。
NISA(小額投資非課税制度)の
・投資額上限の引き上げ
・投資期間の恒久化
・NISA制度自体の恒久化
を通じ、今後5年で口座数および投資額を2倍までに引き上げる計画です。
ただ、NISAの規模は家計金融資産全体の2.8%にすぎず、これだけでは不十分と言えそう。また、金融リテラシーの向上、前述の投資信託保有期間をより長くするしくみづくりなどの必要もありますし、日本株よりも特に若年層に人気の高い米国株ファンドなどに資金が向き過ぎると、日本経済の活性化効果への期待も薄まってしまいそう。
NISA倍増にとどまらず、個人の金融資産を株式市場に向かわせ、企業の成長を支えるような取り組みを広範囲に進めていく必要があり、そうした具体策の策定が期待されています。
暗号資産界のリーマンショック? FTX破綻が招くバブル崩壊
暗号資産取引所大手のFTXが破綻したことで、暗号資産貸付の米ブロックファイも連鎖破綻。
2021年11月に3兆ドル(約420兆円)を超えていた暗号資産の時価総額は、1年で2兆ドル(約280兆円)が吹き飛びました。
5月にステーブルコイン(仮想通貨を安定させるための裏付け資産)のテラが暴落したことで、元本は保証されているとの期待が裏切られ、仮想通貨の信頼が大きく揺らぎました。
利用者は保護されず、大きな損失を被ることになってしまいました。
投機による値動きが激しく、決済利用には適さないことが改めて浮き彫りになりました。
IMF(国際通貨基金)からも、より批判的な目で判断し、強力な規制が必要と述べられていることから、欧米当局も規制強化に動きそうです。