遺留分について理解しておこう!
遺産分割協議とは
遺産分割協議とは、亡くなった人の遺産について、「誰が・どの財産を・どのくらい」取得するか(遺産分割)について、相続人が話し合う(協議する)ことです。
遺産には、現金や預金ばかりでなく、不動産(土地・建物)や自動車・貴金属・家財道具などの動産、貸付金などの債権、そしてこれらプラスの財産の他に、借入金や未払金などの債務(マイナスの財産)も遺産となります。
これら遺産をどのように分けるかについて相続人同士で話し合うのが遺産分割協議です。
相続人間で話し合って合意した内容を書面にしたものが遺産分割協議書となります。
遺産分割協議書は、財産の名義変更等の手続きに使用する他、合意した内容を証明するためのとても大切な書類です。
遺産分割協議に参加する人
遺産分割協議には「法定相続人全員」が参加しなければなりません。
また、遺言で包括遺贈を受けた人や、相続人から相続分を譲り受けた人は、法定相続人以外の人ですが遺産分割協議に参加する場合もあります。
相続人の中に不仲で疎遠な人がいたとしても、その相続人が参加していなければ協議は無効となり、遺産分割協議をやり直す必要があります。
また未成年者や行方不明者、認知症高齢者がいる場合は、家庭裁判所に特別代理人や不在者財産管理人、成年後見人を選任してもらい、その代理人が協議に参加することになります。
※遺言で包括遺贈を受けた人(包括受遺者)
遺言書のなかで、「〇〇〇〇に、遺産の3分の1を遺贈する」などと書かれている場合を「包括遺贈」といいます。
このように割合で財産を受け取る人のこと「包括受遺者」といいます。
遺産分割協議の行い方
遺産分割協議には決まったやり方というものはありません。
法定相続人等の全員が参加する必要があるのですが、「一堂に会して話し合わなければならない」ということはありませんので、電話や電子メール、書面などで連絡を取り合って協議を行っても問題はありません。
なお、遺産分割協議で全員の合意が得られれば、法定相続とは異なった配分にすることも可能です。
特別受益や寄与分などについても、遺産分割協議の場で主張していくことになります。
遺産分割協議が成立しないとき
遺産分割協議が成立するためには全員の合意が必要ですが、必ずしも協議がうまくいくとは限りません。
分割協議への参加を拒む相続人もいるかもしれません。反対したり参加を拒んだりする人がいると協議は成立しなくなります。
遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所に対して調停を申し立て、裁判上の手続きで解決を図ることになります。
このような場合には、(自分で対応しても構いませんが)できるかぎり弁護士に依頼して手続きを進めるほうがいいでしょう。
遺産分割協議のポイント
① 法定相続分にこだわる必要はありません
② 二次相続のことも考慮して、場合によっては世代を飛ばして相続する
③ 不動産の共有相続はできるだけ避ける
④ 相続後に売却予定の不動産は共有でもOK
⑤ 同じ場所の土地と建物は同じ相続人が取得する
⑥ 自社株は会社を継いだ相続人がその全部を取得する
⑦ 未成年者への相続は慎重に
⑧ 相続税がかかる場合は節税効果に留意すること(配偶者控除、小規模宅地の特例等)
遺産分割に期限はないのでしょうか?
原則として、遺産分割に期限はありません。
10年以上経っても遺産分割を行っていないというケースはよくあります。
しかし、相続財産の合計が相続税の基礎控除額<3000万円+(相続人の数×600万円>を超えていて相続税の納税が必要になる場合には、注意が必要です。
相続税には種々の特例がありますが、特例の適用を受けるためには、相続税の納付期限(相続開始後10カ月以内)までに遺産分割を終えている必要があります。
また、相続税を納める必要がなくても、後になればなるほど相続関係が複雑になる(相続人が死亡することで、相続人が増えてしまう)ことも予想されますので、なるべく早く遺産分割を終えことをおすすめします。