相続時精算課税適用のポイントと手続き
先日、仙台市宮城野区在住のお客様から次のような質問がありましたのでご紹介します。
ご質問)
私(A子さん/仮称)は80歳で、一度は結婚しましたが、数年で離婚してからは生涯独身で、子供もおりません。両親はすでに亡くなっていて、兄弟姉妹も甥や姪もおらずに相続人がいません。
離婚した夫の妹(B美さん/仮称)とは仲が良かったこともあり、現在も近くに住んでいる元夫の妹に食事や身の回りのことなど何かと世話になっています。
私の財産は30年以上前に購入した自宅のマンションと1000万円程度の預金のみです。生命保険は満期になってすでに契約はありません。
私としてはこれらの財産を夫の妹に渡したいと考えています。
夫の妹に渡すときに、遺言状だけで相続できるのでしょうか。それとも生きているうちに渡してしまうほうが良いのでしょうか。
また、相続税がかかるのでしょうか。それと、夫の妹には遺言書のことを伝えておいたほうが良いのでしょうか。
ご回答)
この度は無料相談をご利用くださいましてありがとうございます。
さっそくですが、お話をお聞きした限りでは確かに相続人になれる人はいらっしゃらないようなので、遺産をどなたかに渡すとなった場合には遺言書を作っておく必要があるかと思います。
生前の贈与については、贈与税の問題がありますし、不動産に関しては名義変更の登記費用に加えて、不動産取得税も支払う必要があるなど、デメリットのほうが大きいと思われます。
特別に緊急に名義を変えなければならないご事情もないようですので、遺言書の作成でまずはよろしいかと思います。
遺言書には、自分の手書きで作る自筆証書遺言と、公証役場で公正証書という公文書として作成する公正証書遺言があります。
A子さんが亡くなった時にB美さんがスムーズに手続きができるように、公正証書で遺言書を作ることをお勧めします。
公正証書では数万円の費用がかかりますが、手書きで作るための手間や公証人に内容をチェックしてもらえることを考えれば、公正証書のほうがよろしいかと思います。
なお、遺言書には、遺言執行者を選任しておくことをお勧めします。(遺言執行者はB美さんで構いません。)
相続税がかかるかどうかについては、相続財産がいくらになるかで決まります。
相続財産の合計が、3000万円+(600万円×法定相続人の数)の金額までの範囲内でしたら相続税はかかりません(非課税です。)
A子さんには相続人がいませんので、3000万円以上の財産をお持ちであれば相続税がかかることになります。
預金が1000万円ということは、不動産の評価額が2000万円以上でしたら相続税を支払う可能性が出てきます。
詳しくは少しお時間をいただいて、資料を基に税理士に相談の上ご回答いたします。(税理士相談したところ、マンションの評価額は1200万円程であったため、後日、相続税はかからないことをお伝えしました。)
なお、B美さんは相続人ではありませんが、遺言書で財産を遺贈(いぞう)される人も贈与税ではなく相続税の計算になります。B美さんが相続税を支払う場合は、税額が通常の税額の1.2倍になります。(2割加算)
最後に、遺言書を書いたことをB美さんに伝えるかどうかですが、これについては、私の個人的な考えですが、事前にお知らせしておいたほうがよろしいかと思います。
遺言書そのものを見せるまではしなくても良いかもしれませんが、
「遺言書があって、B美さんに財産が行くことになっている」ことと、
「遺言書を保管している場所」についてはお伝えしておいてもいいのかなと思います。
遺言書の作成を検討されている方がいらっしゃいましたら、ライフパートナーズ行政書士事務所の無料相談をぜひご利用ください。