遺産の分け方の5つのヒント
今回も、相続による権利の承継についてよくある疑問・質問を集めてみました。
生命保険(死亡保険)金
生命保険(死亡保険)金を受け取る権利は、保険契約によってその権利が生じますが、特別な事情がない限りは受取人の固有財産となりますので、相続の対象にはならないとされています。
ちなみに、「相続人の固有財産」とは、相続するのではなくて、保険契約に基づいて各相続人が「保険金請求権」を取得するということです。
生命保険と相続については、これ以外にも注意点がいろいろありますので、改めてご説明しますね。
債務・連帯債務
借入金などの債務は相続の対象となります。
仮に、預貯金などのプラスの財産よりも借入金などの債務の額のほうが大きい場合には、相続放棄をするかどうか検討することになります。
ただし、相続放棄は「亡くなったことを知った日から3ケ月以内」に手続きをする必要がありますのでご注意を。
保証債務
いわゆる借金の保証人が想像しやすいと思いますが、このような保証人の立場も相続の対象になります。
連帯保証人も同様です。
仮に相続人が2人いれば、法定相続分に応じて2人で相続します。
では、借金の保証人ではなく、アパート等の賃貸契約の保証人はどうでしょうか。
この場合の保証人についてもその立場を相続します。
例えば、借主の賃料不払いがあったり、借りている建物等に損害を生じさせてしまっている場合、その保証債務は相続の対象となります。
なお、保証人の立場を相続したくないのであれば、相続放棄の手続きを検討しましょう。
一身専属権
一身専属権という言葉はあまり聞き慣れませんが、
「ある人の一身に専属し,他人が取得または行使することのできない権利」のことを言います。
具体的には、扶養請求権や身元保証人としての地位、生活保護受給権などです。
もっと分かりやす例ですと、自動車運転免許や医師免許などになります。
これらの例をみると、相続人に受け継がれるとするほうが感覚的にもおかしいですよね。
祭祀関係財産
祭祀関係財産とは、系譜・祭具及び墳墓のことをいいます。
系譜は先祖の家系を書いた家系図、 祭具は位牌や仏壇など、墳墓とは墓石・墓地などです。
さて、これらの祭祀関係財産と相続の関係はどうなっているかというと、原則として相続財産ではありません。
どんなに価値があっても相続財産ではありません。
したがって、遺留分の計算に含まれることもありません。
では誰が承継するのかというと、
民法897条では「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。」となっています。
つまり、まず第一には被相続人が指定した人が承継し、この指定がないときは慣習に従って承継することとなります。
慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者は、一般的には長男もしくは配偶者を指すと解釈されているようです。
ちなみに、その慣習が明らかでない場合には承継すべき人を家庭裁判所に決めてもらいうこともできます。
以上、いかがでしたでしょうか?
何を相続して何を相続しないのか。
細かくて難しいな、と思った方はどうぞお気軽に弊社の無料相談をご利用ください。
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