遺産分割のやり直しはできますか?

鴇田誠治

鴇田誠治

テーマ:ご相談事例

今回の事例は、最初の遺産分割協議で合意して名義変更も済ませた後に、事情が変わったので遺産分割協議を再度行うことができるのか?というご相談でした。

ご質問

半年前に父が亡くなり、相続人の兄・私・弟の3人で相続しました。

自宅の土地建物は兄が相続して実家を継ぎました。その他に畑があり、その畑については弟が相続しました。

ところが、弟は県外に居住しているため耕作もできないし、相続したことを知った弟家族からも今更のクレームが入り、やはり兄に相続してもらおうという話しが出ています。

このことについて兄弟3人とも異存はないのですが、土地の名義変更を済ませてしまった後では何もできないと親戚には言われています。

登記を済ませてしまった後では、遺産分割協議のやり直しはできないのでしょうか?

ご回答

相続人全員が同意すれば、 遺産分割協議をやり直すことは可能です。

ただし、税務上は弟さんからお兄さんへの贈与として贈与税が課税される恐れがあります。

これは、名義変更後に改めて遺産分割をすることによって遺産の取得分が増えた相続人(お兄さん)に対して贈与があったと判断されるためです。

ただし、贈与税は年間110万円の基礎控除があります。

今回問題となる畑の評価額が110万円以下であれば贈与と判断された場合であっても課税の問題は無くなる可能性が出てきます。

仮に贈与税等の課税問題が無いのであれば、この場合のお手続きは次のようになります。

(1)弟さん名義の所有権移転登記を抹消

(2)再度、お兄さん名義に名義変更を行う

この場合には、登録免許税等の費用は再度発生します。

いずれにしましても、遺産分割協議のやり直しは、法律上や登記手続上は比較的簡単に行なえますが、税務上は色々な問題が発生する可能性があります。

遺産分割協議をやり直したい、というご希望がございましたら、お手続きを進める前に一度ご相談いただければと思います。

 

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鴇田誠治
専門家

鴇田誠治(行政書士)

社会保険労務士・行政書士 ときた事務所

相続・相続対策の専門家として、相続手続きの総合的なご支援はもちろん、争族の対策もお客様と共に立案いたします。また、任意後見、財産管理、家族信託など、お客様が安心できる老後の生活支援もお手伝いします。

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