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鴇田誠治

遺言書作成と相続手続きのプロ

鴇田誠治(ときたせいじ) / 行政書士

社会保険労務士・行政書士 ときた事務所

コラム

妻へ自宅の土地建物をスムーズに引継がせたいのですが・・・

2015年8月9日 公開 / 2020年6月30日更新

テーマ:ご相談事例

コラムカテゴリ:法律関連

遺言がいいのか生前贈与がいいのか

先日ご相談にいらした方のご相談は「相続予約について教えて?」ということでした

相続予約??税理士さんに聞いた???一体何だか分からずお話しをじっくり伺ってみると

その方は、最近体調を崩されたのをきっかけに会社の経営を後進に譲って自分は取締役会長の職に退きました

しかし会社に万一のことがあった場合に自宅を差し押さえられて奥様に迷惑をかけることになってしまう、ということで

今のうちに、自宅の名義をスムーズに妻に移せるように予約をしておきたいということでした。

相続予約なる制度はないのですが、なるほど「相続予約か」・・・と妙に納得させられました

さて、この方の資産は自宅の不動産がメインということでしたので、このようなご希望にお答えするには遺言書を作るか、奥様に生前贈与をするかを検討してはどうか、ということでお答えしました

しかし、自分が亡くなる前に会社経営が傾いて差押えなどの事態になってしまえば、遺言書では意味を為さなくなりますので、いろいろご説明した結果、生前贈与をご検討してみるということになりました。

夫婦間の居住用不動産の贈与

生前贈与は、贈与税が心配ですが、その方は「婚姻期間20年以上」のご夫婦でしたので「配偶者への居住用不動産の贈与の特例」を利用することが可能です

この特例は、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です

つまり、不動産の評価額が2110万円以下であれば、居住用財産を相続税も贈与税も課税されずに移転できるということになります

この特例を使うためには、いくつかの適用要件があるので注意が必要ですが、同居しているご夫婦なら一般的には大丈夫だと思います

ただしいくつか注意点もあります

一つ目は、贈与税はかからないが、登記の「登録免許税」や県へ納める「不動産取得税」が必要になること

二つ目は、会社経営が悪化し破たん直前に妻への生前贈与をした場合、債権者への詐害行為として取り消し対象になる可能性があるので、経営が安定している時点で贈与を行うこと

三つ目は、相続税の申告までを見据えて総合的に判断すること

四つ目は、この制度を利用する場合には贈与税の申告が必要になること

この制度につて詳しくはこちら必ずご確認ください⇒<夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除>

相続対策は長期的・総合的な検討が必要です

相続対策だからといって、遺言書の作成を勧められることがあるかも知れませんが遺言書の利用も、このご相談のようにケースバイケースです

遺言書は相続対策として必ずしも万全ではありません

個々の事情によっては生前贈与と遺言書と生命保険を組み合わせるなど様々な対策を検討すべきです

当社は、グループ内の税理士・司法書士・行政書士が連携して、皆様の相続対策を総合的にサポートしております

ご相談は無料ですので、お悩みの方はどうぞお気軽にお問合せください

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