社員が会社を辞める本当の理由とは?
経営者が「社員がついてこない」と言う会社では、ほぼ間違いなく「経営者が何を考えているのかわからない」と社員が言っています。
経営者と社員では背負っている責任や立場が異なるため、意識や考え方に多少の差があるのは仕方ありません。しかしそのことが原因で経営者と社員の間に壁があるのであれば、改善をする必要があります。なぜならば、伸びない会社では経営者と社員の間に壁があり、企業成長の妨げになっているからです。
今回は、そんな状況を打破するヒントをご紹介したいと思います。
社員から見た経営者とは
はじめに、社員から見た経営者について考えてみましょう。日々仕事をがんばる社員たちは、経営者のことをどう思っているのでしょうか?
【例1:創業したばかりの会社】
経営者:会社を早く軌道に乗せるため、経営判断をスムーズに行いたい。そのため基本的な判断は経営者自らがスピーディーに行っている。
社員:経営者が独裁的だからワンマン経営になっている。のびのびと働けない。
【例2:大手企業】
経営者:営業成績トップで成り上がり、企業規模を拡大させるために奔走している。
社員:実績はすごいけれど、冷酷な経営者でついていくのが大変。
このように経営者が行っていることが、社員から見るとネガティブに映ることもあります。どんな経営者であれ、社員全員から好かれているということはないでしょう。しかし社員の気持ちや、社員から見た姿を理解していかなければ、社員はついてこなくなり、伸びない会社となってしまうでしょう。
経営者と従業員の壁
では、どうすれば経営者と社員の間にある壁を取り除くことができるのでしょう。
(1)社員とコミュニケーションを取る
社員ひとりひとりがどんな夢を持って仕事をしているか、考えたことがありますか?
「お金のため」「生活していくため」など、あまりにも基本的なものを除き、どんな夢が考えられるでしょうか?
「家を買いたい」「海外を旅行したい」「高級外車に乗りたい」など、実にさまざまな夢が出てくることと思います。経営者はそういった夢をうまく聞き出し、仕事へのやる気につなげることが重要です。
自分が経営する会社で働くことにより、そういった夢が現実になるイメージを持たせなくてはなりません。それには、社員とのコミュニケーションが必須なのです。
そしてなにより、コミュニケーションをしっかりと取ってくれる経営者に対して、社員が悪いイメージを持つことは少ないでしょう。もし壁があるのであれば、こういったコミュニケーションをきっかけに、壁を取り払っていきましょう。
(2)職場環境を整える
社員とのコミュニケーションを取ったら、リアルなイメージを持たせるためにも、職場環境を整えましょう。
□社員ひとりひとりがのびのびと働ける職場
□風通しが良い職場
□目標に向かってがんばる社員をサポートする職場
上記のようにさまざまなパターンを想定することができます。社員のモチベーションを引き上げ、経営者との壁を取り払うためにも、クリーンな職場環境を目指していきましょう。
上記(1)(2)どちらにも共通して言えることは、経営者が社員を気づかう姿勢を見せるということです。
経営者と社員では置かれている立場が異なります。だからこそ、経営者が社員に歩み寄り、より良い職場作りを行う必要があるのです。
経営者に求められる資質
経営者と社員の間にできる壁や、それを取り除く方法についてお話ししましたが、経営者とはどうあるべきなのかを知ることも重要です。最後にその点について、詳しく見ていきます。
(1)目標・ビジョンを掲げる
まず1つ目は、「目標・ビジョンを掲げる」です。目標やビジョンが見えない職場では、社員は日々何のために仕事をしているのか、わからなくなってしまいます。
そのため経営者は、どのような会社にしたいのか、社会にどのように貢献したいのかなど、方向性を決める必要があります。そして、こういった目標・ビジョンを掲げることで一体感が生まれ、目標に向かって前進できる会社組織となります。
(2)魅力的な人間性
2つ目は「魅力的な人間性」です。どんなに素晴らしい実績を持っていたとしても、人間的に魅力がなければ、社員はついてきません。
「魅力的な人間性」と聞くと抽象的で難しく感じるかもしれませんが、これまでの人生経験や実績、優しさ、力強さ、交渉力、信頼できる人柄など、あらゆることが人間性となり得ます。
そういった経営者の人柄を、社内外の人に発信することが重要なのです。そして、さらなる魅力を引き出せるように、経営者自らも勉強や自分磨きに取り組む必要があります。
(3)コミュニケーション能力
3つ目は「コミュニケーション能力」です。「コミュニケーション能力」と一言で言っても、経営者に求められるものは社員のそれとはレベルが異なります。具体的に求められるコミュニケーション能力は以下です。
□経営者としての自分の考えを押し付けない
□自分自身を客観的に見ながら会話をする
□相手の立場や状況に応じて、物事を適切に伝える
□相手が発信している情報を的確に読み取る
組織にはさまざまなタイプの社員が属しています。そういった社員ひとりひとりに合わせて、コミュニケーションを取れるかどうかが重要です。コミュニケーションがしっかり取れれば、経営者と社員の間に壁ができるのを防ぐことができます。
(4)自己変革力
最後4つ目は、「自己変革力」です。昔から続いているやり方や手法を守ることは重要です。しかしこれだけ急激に変わっていく社会においては、そういったやり方を見直す柔軟性が求められます。
社会の流れに取り残されることなく、企業規模を拡大していくためにも、変化を恐れずにチャレンジしていくことが大切です。そのためには経営者自らが、自分自身を変革していくことも必要となってきます。経営者が変われないのに、会社組織が変わることはありません。経営者自身も変革をしていきながら、状況・情勢に合わせて会社を進化させていきましょう。