コミュニケーションの数が部下を成長させる

小野由樹子

小野由樹子

テーマ:部下から信頼されるコミュニケーション

マネージャーやリーダーなど、管理職に就いている人の悩みで多いのが、部下とのコミュニケーションです。

グループやチームの成果を最大化させるためには、部下のモチベーションを上手にコントロールしていくことが必要ですが、コミュニケーションをうまく取れていないことに悩んでいる人も少なくないでしょう。

今回は、管理職の方に向けて部下を成長させるために有効なコミュニケーションについてお話しします。

組織における信頼関係。その理想と現状とは

コンサルティング会社Interaction Associatesによる興味深い調査結果があります。

組織の信頼関係に関するアンケートにおいて、「仕事の生産性を高めるためには、同僚、上司、部下と良好な信頼関係を構築する必要があると思う」と回答した人の割合が80%以上に達していることがわかっています。

しかし、現実はというと、上司や同僚を信頼していると回答した人はわずか50%ほどにとどまっています(Ernst&Young(EY)の調査)。

この結果からわかることは、上司・同僚・部下との信頼関係を構築するのが生産性向上に貢献するとは考えているけれども、実際には適切な信頼関係の構築に成功していないということです。特に部下のマネジメントにたずさわる管理職の方々にとっては、頭のいたい問題なのではないでしょうか。

信頼関係の構築にはコミュニケーションを増やしていくことが大切

さて、部下との良好な信頼関係を築くためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

おすすめの方法の一つとして挙げられるのが、「コミュニケーションの頻度を増やす」ということです。

働き方改革の一環で、ワークライフバランスの充実が図られており、多くの企業では残業時間の短縮や有給休暇の取得率向上に向けて環境の整備に力を入れています。

それ自体はいいことなのですが、それに伴って向上されるべき「労働生産性」が全く追いついていないのが現状です。

「残業禁止になったけれど、自宅に持ち帰って仕事をしている…」「結局、やるべきことが明日に先延ばしされているだけだ…」とジレンマを感じつつ、仕事に励んでいる人も少なくないのではないでしょうか。

現に日本の労働生産性はOECD(経済協力開発機構)加盟国中、36カ国中20位と低水準です。1位のアイルランドとは50ポイントも差がついているのは、驚くべきことといえます。

その生産性の低下の一因をつくっているのは、上司と部下の間のコミュニケーション不足です。部下が自ら考えて仕事をしたり、自らの判断に責任をもって仕事を進めたりすることは大切ですが、部下が何か問題を抱えたり、困っているときは時間をあけず、その都度、上司に相談ができる信頼関係を構築しておくことは、生産性の向上ほか、部下を成長させる上でも欠かせないことです。

手取り足取り、指導する必要はないと考えますが、困ったときに思いきり飛び込めるふところがあるとないのとでは、部下の安心感が大きく異なってくることでしょう。上司と部下の信頼関係の構築は、部下の成長を支える要となります。

部下が上司から学べることは、仕事の進め方だけではありません。仕事に対する向き合い方、多方面の部署の人たちとのコミュニケーションの取り方や調整の仕方、クライアントへの接し方、成果を導き出す姿勢など、実にさまざまです。

組織強化に有効な「1on1ミーティング」のメリットとは

こういった「仕事マインド」に関することは、コミュニケーションの頻度を増やすなかで血となり肉となり自然と身についていくものです。「背中を見て学べ」とはよくいったものですが、生産性が重視される昨今のビジネスシーンにおいては、少々無理があるかもしれません。しっかりと言葉でコミュニケーションをとりながら、ビジネススキルが向上していくようにサポートしていくことが必要です。

上司と部下の間のコミュニケーション量を増やすために「1on1ミーティング」をおすすめしたいと思います。

「1on1ミーティング」とは、人材育成を効果的に実施していくことを目的に、上司と部下の間で週に1回~2週間に1回以上、継続的に面談を行っていくものです。年に1回の評価面談に終始する企業が多いなか、高い頻度でコミュニケーションを取ることが大きな違いです。

ポイントになるのは、事前の段取りです。事前にミーティングする時間・場所・テーマをきちんと設定します。そして「部下の成長を促すためのミーティング」だということ、つまり目的をしっかり伝えるようにしましょう。

さらに、このミーティングで話した内容を記録しておき、お互いが見ることができるように社内フォルダなどで共有しておきましょう。

そして、部下に必ずやってほしいのは、ミーティングの内容をしっかりと振り返り、日頃の仕事に生かしていくことで、下記のようなPDCAサイクルを恒常的に回し続けていくことが大切です。

「仕事に関する悩みの相談(1on1ミーティング)」

「上司からのフィードバック」

「フィードバック内容を振り返る」

「仕事に生かす」


チームやグループの生産性や売上の伸び悩みを感じている管理職の方は、部下のスキルアップが必要不可欠です。継続的に1on1ミーティングを実施することで、部下と上司の信頼関係が構築され、部下の成長を促進してくれることでしょう。

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