管理職が知っておくべき、部下のモチベーションを上げるために必要なこと
組織を円滑に運営していくために欠かせないのが、チームを一つの方向に導くマネジメント能力です。何かしらの管理職に就いている方やリーダーには、各メンバーのモチベーションを高め、成果を最大化させるためのマネジメント・スキルが要求されています。
今回のコラムでは、部下から信頼を得るためのマネジメント方法やコミュニケーション方法について解説します。
イマドキ社員に「自分流」マネジメントは通用しない
マネジメントに関わるみなさんは、どのように部下のモチベーションをコントロールしていますか。マネジメントを行う際に忘れてはいけないことがあります。それは、「自己流のやり方に固執するのは大変危険」ということです。さらに危険なのは「思考停止」です。
・最近の若者は考えが甘いんじゃないか…
・近頃の新人は、こんな当たり前のマナーも知らないのか…
・今どきの20代は、やる気がないな…
部下とは年代が離れていれば、こういった感情を抱きやすくなります。
みなさんにも心当たりはないでしょうか。このような「思考停止状態」におちいってしまうと、その感情が部下にも伝わり、態度となって表れます。そのような状態で、信頼関係を構築したり、チームを取りまとめ一つの方向に向かわせる組織マネジメントを成功させたりすることは難しいでしょう。
部下をマネジメントする際に認識しておくべきことは、ひとりよがりにならず、相手の性格や個性に合わせた「個別のコミュニケーション」を心がけるということです。
相手に合わせたコミュニケーションを心がけよう
さて、「相手に合わせたコミュニケーション」とはいったい何なのでしょうか。
それは、一人ひとりのキャラクターに合わせたコミュニケーションを行うということです。このコミュニケーション手法は、マラソン選手の高橋尚子さんや有森裕子さんなどオリンピックメダリストの育成に貢献した、小出義雄監督独自のコーチング手法と同様です。
小出監督は各選手のキャラクターや個性に応じてコミュニケーションの方法を柔軟に変化させることで、選手と厚い信頼関係を築くことに成功しました。そのコーチング手法がメダルの獲得へと導いたのです。
たとえば、組織やチームへの貢献意欲が高いが、自発的に考えて行動することができない新人がいたとします。言われたことはやるけど、自分で考えられない。そのような新人に、指導したい場合、あなたならどのように伝えますか。自分だったらどのように伝えるかイメージして考えてみてください。
もし「自分で考えて行動しろ!」と威圧的に指導しているのなら、新人のモチベーションは急降下してしまうでしょう。これは最もこのましくない伝え方の一つです。
組織への貢献意識の高さが彼の魅力であるため、その部分をしっかりと受け止めた上で、アドバイスするのが効果的です。たとえば、このような具合です。
「○○君が、チームのために一生懸命がんばってくれていること、ありがたく思っているよ。君はチームにとって、かけがえのない存在だと思う。本当にありがとう。でも、私が指示したことをこなすだけではなく、チームのために、何をするとよいのか自分で考えて行動できるようになれたら、もっといいね」
ポイントは、相手のよいところをしっかりと受け止めたうえで、アドバイスを行うという流れです。
新人の承認欲求をきちんと満たした上で指導することで、アドバイスに耳を傾けてくれるようになります。マネジメントやコーチングというと、たいそうなイメージを抱いてしまいますが、「このタイプの人間の場合、どういう言い方をすれば、喜んでアドバイスを受け入れてくれるだろうか」と、イメージして伝えてみることさえ忘れなければ大丈夫です。
信頼感を得るコミュニケーションを
また、日頃から部下と密にコミュニケーションを取り、ある程度の信頼関係を構築しておくことも重要なポイントです。ふだん、コミュニケーションが少ない上司からいきなり指導されても、素直にアドバイスを受け止めることは難しいのではないでしょうか。
いざほめようと思っても、普段のコミュニケーションが少ないと恥ずかしくて、なかなかスムーズに言葉が出てこなかったり、ぎこちなくなったりします。
部下のマネジメントに自信がもてない…と感じている方は、まず自己流のマネジメントになっていないか、日頃の行いを振り返ってみてください。
その上で、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを心がけていくことが大切です。そうした丁寧なコミュニケーションを積み重ねていくことで、確かな信頼関係を醸成していくことができるでしょう。
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