コミュニケーション教育が組織力を強化する
自分のいうことに「YES」ばかりで、自身の意見がない社員ばかり。離職率も高く、自分と思いを共有できる社員がほとんどいないように感じる…。そんな悩みを抱いている場合、いわゆる“ワンマン社長”になっている可能性が高いので注意が必要です。
今回のコラムでは、ワンマン社長の特徴と、社員から愛される経営者になるための方法についてお話しします。
社員の離職が止まらない原因とは? ワンマン社長に見られる特徴
ワンマン社長にみられる代表的な特徴が4点あります。ひとつずつ説明していきます。
【自分のことを優秀だと思い込み、社員にチャンスを与えない、権限を与えない】
企業のトップに立つ社長は、優秀な方が多いです。
しかし、自分は優秀で、社員は使えない人材ばかりとの“思い込み”や“おごり”が強くなると、社員のモチベーションを大きく下げてしまいます。
重要な仕事や大きな仕事のチャンスが与えられず、指示された仕事を細々とやるだけでは、仕事における充実感を得ることは難しいでしょう。
優秀であればあるほど、大きな仕事にチャレンジしてみたいとの思いが強いものです。そういった社員のやる気に応え、相応の仕事を与えることができなければ、会社に貢献してくれる社員の離職を減らしていくことはできません。
【社員の意見を聞かない。聞いたとしても取り入れない】
会社への愛着が強い社員(=従業員エンゲージメントの高い社員)や、とびぬけて優秀な社員は、会社をよりよくする建設的なアイデアを発信してくれる大切な人材です。
こうしたアイデアや意見は、取り扱っている商品やサービスの品質を向上させるだけではなく、ゆくゆくは顧客満足度の向上にもつながるため、中長期的には企業の収益性の向上にも貢献します。
社員たちが発信する貴重な意見をないがしろにしたり、取り入れなかったりすると、会社の成長は止まり、競合他社に大きな差をつけられてしまいます。
【YESマンやごますりの得意な社員ばかりを評価する】
経営者の意見に肯定的な意見しかいわないYESマンや、ごますりをする社員ばかりをかわいがるのは、ワンマン社長の典型的な特徴です。
この場合、それぞれの社員に対する評価基準があいまいで、成果に対する正当な評価が行われていないことが多いです。そのため、しっかりと真面目に取り組んでいる社員でも「YESマンになれなければ、上に評価してもらえない」といった問題が生じます。
こんなことが繰り返されていては、社員のやる気がそがれ、モチベーションはどんどん低下していきます。社員の離職率の上昇にも歯止めがかからなくなるでしょう。
ダイバーシティが叫ばれている昨今、多様な意見や考えを広く受け止める姿勢を持ち、働く環境を整えることが企業には求められています。
一人ひとりの意見を尊重し、公平に評価することは、これからも生き残り、成長を続けていくためには欠かせないことです。
【社員のがんばりを認めない、感謝や敬意を示さない】
ワンマン社長の多くは、自身が優秀であるがゆえに、社員のがんばりや成果をしっかりと受け止めず「できて当たり前のことだ」と判断してしまう傾向にあります。それゆえ、社員に対して感謝や敬意を払うなどの気配りが欠けている場合があります。
社員のモチベーションや働きがいを考えた時に、とても重要なのが「達成感」です。それは自分で自分をほめることで味わえるものでもありますが、社長からほめられたり、感謝の言葉をかけられたりしたうえで、表彰されるなど適切な評価があれば、格別に大きなものとなるでしょう。承認欲求をしっかりと満たすことは、社員のモチベーション維持には欠かせません。
社員から愛させる経営者になるためには
以上に挙げた特徴が、ワンマン社長が陥りがちなポイントです。
社員から愛され、「この人についていきたい」と思われるような経営者になるためにはどうすればよいのでしょうか。
いろいろな要件はもちろんありますが、心がけておきたいことを一点あげるならば、「社員への感謝・敬意の気持ち」を常に忘れないということです。
上に挙げたワンマン社長の特徴の根底にあるのは、「おごり」です。自分が会社のトップに立てているのも、企業が順調に成長を遂げているのも、社員のがんばりのおかげであるということを忘れてはいけません。
社員に寄り添うことが増えれば、会社のために自発的に仕事に励む社員が増えていきます。
まずは「心の持ち方」から、変えていくことをおすすめします。問題点にばかり意識を注ぐのではなく、チームや従業員の良いところ探しをしてみましょう。
そして勇気を出して、直接感謝を伝えるようにしましょう。そうすることで、少しずつ職場の雰囲気が変わり、社員との距離も近づき、さまざまな意見やアイデアが出てきます。そして、それらにきちんと耳を傾けることで、社員に愛される経営者になることができるでしょう。