社員が「つまらない職場」と感じる理由はコレだ
会社に活気がない、自分の意見を発信する社員が少なくなった…。ここ数年、社内の雰囲気が変わってきたと感じる経営者の方も少なくないのではないでしょうか。
原因を特定するのは難しいものですが、社内のコミュニケーションがうまく機能していないことが一因かもしれません。今回のコラムでは、社内コミュニケーションを活性化させるアイデアについてご紹介いたします。
社内コミュニケーションは必要不可欠
メールや社内イントラネット(社内ネットワーク)などITツールの発達ほか、ワークライフバランスを重視する働き方改革なども加わって、日本では業務の効率化が進展してきました。
大変喜ばしい動きですが、生産性の向上にはつながっていないのが現状のようです。OECD(経済協力開発機構)に加盟している国で比較した時間当たりの労働生産性は、36カ国中20位と低いランクです(2018年、公益財団法人日本生産性本部)。
日本の生産性がよくない理由の一つは、社内のコミュニケーション不足が原因かもしれません。アメリカのSMB Communicationが社内のコミュニケーション不足による経済損失を試算したところ、従業員一人あたり年間26,000ドル(日本円にして300万円相当)に達することがわかっています。
業務効率化を推進しつつ、しっかりと確保しなければならないのは、健全で緊密な、つまり有機的な社内コミュニケ―ションです。健全で有機的な社内コミュニケーションとは、従業員が互いのスキルや知識を共有し合い、それらの知見を活用して生産性や売上の向上に貢献することです。
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社内コミュニケーション阻害要因は何?
さて、日本の企業文化のなかで社内コミュニケーションの阻害要因となっているのは何なのでしょうか。
一つは組織風土・社風です。組織風土・社風を形成しているのは、一人ひとりの意識であるため、従業員みんなの意識がガラッと変わるような出来事がない限りは、そう簡単に組織風土・社風を変えることはできません。
そのため、トップダウンによる何らかのテコ入れが必要となります。就業規則や企業ビジョンを刷新することも有効な手段の一つですが、もっと簡単に社内コミュニケーションを増やす方法があります。以下でいくつか事例をご紹介したいと思います。
【サンクスカード】
サンクスカードは、掃除用品などをレンタルするダスキンや家事代行サービスなどを展開する株式会社武蔵野から始まりました。
社長の小山昇氏が、自分の考えをスタッフにしっかりと伝えるために用いたコミュニケ―ションツールです。カードに感謝の言葉を書いて、相手に渡すものといった非常にシンプルなものです。
社内にサンクスカードの制度が浸透するにつれて、社内の雰囲気が明るくなり、良好で活発なコミュニケーションが生まれるようになったといいます。「ありがとう」を伝えることで、お互いを思いやる気持ちが生まれるほか、親しみを感じるようになるので、信頼関係が構築されるようになります。
社員のモチベーションや定着率の向上にも貢献する施策ですので、大変おすすめです。
【シャッフルランチ】
シャッフルランチは、インターネット広告事業を展開する株式会社サイバーエージェントから生まれた、社内コミュニケーションの活性化施策です。
業務上、接点が少ないスタッフでグループを組んでランチに行くというものです。企業の福利厚生の一環としても、広がりつつあります。男女・年齢・役職関係なく、さまざまなスタッフとの交流を通して、仕事の幅が広がったり、新鮮な気持ちで仕事に向き合えるようになったり、モチベーションが上がったり、仕事に関する意見交換ができたりと、さまざまなメリットがあります。
こういった縦、横のつながりが生まれることで、風通しのよい職場環境を構築することも可能になってきます。
【チャットツール】
フェイスtoフェイスのコミュニケーションではありませんが、気軽に相談をしたいとき、簡単にアイデアを共有したいとき、それぞれのメンバーが同じ時間にミーティングの時間を持つのが難しいときにはチャットツールの活用が大変有効です。
メールだと「○○さん お疲れ様です。▲▲です。××の件についてですが・・・」といった具合に、形式ばったメールマナーに縛られてしまいますが、チャットツールであれば、かまえることなく、どんな内容でも気軽にやりとりできるようになります。そのため社内コミュニケーションの活性化に一役買います。使いやすさでは、「Slack(スラック)や「Chatwork(チャットワーク)」がおすすめです。
社内のコミュニケーションを活性化させる方法はさまざまですが、すぐに自社でも取り入れられるものばかりではないでしょうか。
社内コミュニケ―ションの活性化は、生産性の向上や離職率の低下などに欠かせない、大切な要素です。組織風土を改革したい経営者の方はぜひ実践してみてください。