「子どものため」が、子どもを苦しめてしまう時

小学3年生のお姉ちゃんと、小学2年生の妹さん。
二人とも楽しく競泳を習っていました。
ところが、お姉ちゃんはどんどん上達するのに、妹さんはなかなか記録が伸びません。
妹さんはコーチに「どうしたら速く泳げますか」と聞くほど頑張っていました。しかし、ある日お母さんにこう言いました。
「スイミング辞めたい」
お母さんは困ってしまいます。
せっかく続けているのに。
もう少し頑張れば伸びるかもしれないのに。
お姉ちゃんは続けているのに。
そう思うのも当然です。
でも、私はまず妹さんの気持ちを聞いてほしいと思います。
「辞めたいんだね。どうしたのかな?」
「何かあった?」
まずは理由を聞いてみるのです。
子どもが「辞めたい」と言うと、大人はつい説得したくなります。
「もう少し頑張ろう」
「せっかくここまで続けたんだから」
「お姉ちゃんも頑張っているよ」
しかし、本人が苦しんでいて辞めたいと言っているときに、大人が頑張ることを求めるのは慎重であるべきだと思います。
なぜなら、子どもには子どもの事情があるからです。
できなくて悔しいのかもしれません。
お姉ちゃんと比べてつらいのかもしれません。
競泳そのものが合わないのかもしれません。
また、人にはそれぞれ伸びるタイミングがあります。
同じ練習をしていても、すぐ結果が出る子もいれば、時間がかかる子もいます。
だから姉妹で比べても意味はありません。
お姉ちゃんはお姉ちゃん。
妹さんは妹さんです。
もし比較して落ち込んでいるのであれば、
「お姉ちゃんみたいにならなくていいんだよ」
「あなたはあなたのペースでいいんだよ」
と伝えてあげてほしいと思います。
そして、
「他にやってみたいことはある?」
「これからどうしたい?」
と未来の話もしてみてください。
もし子ども自身が、
「悔しいからもう少し頑張る」
と言うのであれば、もちろん応援してあげればよいでしょう。
しかし、それは子ども自身が選んだ道です。
大人が決めることではありません。
また、「楽しくない」「つらい」と感じているのであれば、無理に通わせる必要はないと思います。
大切なのはスイミングを続けることではありません。
大切なのは、その子が自分の気持ちを話し、大人がそれを受け止めることです。
続けることが最善の場合もあります。
辞めることが最善の場合もあります。
答えは一つではありません。
だからこそ、子どもの気持ちに耳を傾けながら、その子にとっての最善は何かを一緒に考えていきたいものです。
比べる相手はお姉ちゃんではありません。昨日の自分です。
子どもには、その子だけの成長のペースがあるのです。


